代役人生
「かぐや姫の物語」について、もう1点だけ。
先日、「かぐや姫の物語」を観に行ったというT君が私に、
「地井武男の代役で、三宅裕司が一部分だけ声をやっていますよ」
と教えてくれた。
プレスコという手法(先に声を録音し、声に合わせて絵作りをする手法)のため、後になって台本が変わった場合などは、あらためて声を録音しなければならない。
だが、地井武男が亡くなったことにより、追加録音することができなくなってしまった。
その代役として、三宅裕司が、一部声を担当することになったというのである。
事前にそう聞かされていたので、今日、実際に映画を観たときに、「竹取の翁」の声を注意深く聴いてみた。
すると、三宅裕司が代役している部分が、すぐにわかった。
一緒に観ていた妻と義母は、わからなかったらしい。
そりゃあ当然だ。私は高校時代、「三宅裕司のヤングパラダイス」というラジオ番組を毎晩聴いていたので、三宅裕司の声は、体に染みついているのだ。
しかし、ふつうに観れば、その区別は、ほとんどわからないだろう。
それくらい自然なのである。
三宅裕司は、「受けの芝居」の達人である。
相手の芝居に対しての「受けの芝居」が、絶品なのである。
「受けの芝居」が絶品、ということは、相手の芝居に合わせて、柔軟に対応できる、ということである。
「地井武男の代役」としての演技が自然なのも、そういうことなのだろう、と思う。
「受けの仕事」とか、「代役」とか、そういうことがちゃんとできる生き方に、憧れる。
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