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法は冷たかった

法は温かいか、冷たいか

12月12日(木)

夕方、職場で開かれた講演会を聞きに行く。

テーマは、「職場における権力関係を背景にした人権侵害」にかかわる講演会である。年に一度、職場の全員を対象に、この時期に開かれている。

私は、この職場における自分の使命を、この問題の解決である、と勝手に考えていて、この問題に関しては、どんなに孤立しようとも、声を上げなければならない、と思っている。

だがこのことに理解を示してくれるのは、職場でも一人二人である。

会場に行くと、出席者は27人だった。

全部で数百人いる社員のうちの、たった27人である。

うちの部局から参加した者は、私をふくめて、たった3人だった。100名ほどいるうちの、3人である。

3人ですよ!3人!

およそこの職場に勤める者ならば、誰もが考えなければならない深刻な問題であるというのに、どうしていつもこうなんだろう?

いちばんの問題は、宣伝をまったくしなかったことである。

この講演会の企画者は、まったく宣伝活動を行わなかった。チラシやポスターなどは作られていない。メールが1回送られてきただけである。そもそも、聞いてもらいたい、という意欲が、まったく感じられないのである

私だったら、ポスターを作り、チラシを作り、ありとあらゆる手段で宣伝するんだけれどな。

企画者がそれをしないということは、この講演会がその程度のものだと、企画者自身が思っているということなのだろう。

じつに残念である。悲しいことである。

さて、今日、講演いただいたのは、弁護士の先生だった。法律の専門家である。

その弁護士の方は、とても優秀で、間違ったことを1つも言っていなかった。

だが、その言葉は、じつに冷たかった。ビックリするくらい、冷たかった。

法律というのは、かくも冷たきものなのか?と思ってしまうくらい、私には、冷たく聞こえたのだ。

法律には、血が通っているのか?

法律に詳しい人というのは、なぜかくも冷たい言葉ばかりを並べるのか?

誰か、教えてほしい。

「爬虫類の血は冷たいが、人間の血は温かい」

これは、映画「日本沈没」で、丹波哲郎扮する総理大臣が言ったセリフである。脚本家の橋本忍の言葉である。

「人間の血は温かいが、法律は冷たい」

そんなことを感じた講演会だった。

「職場における権力関係を背景にした人権侵害」を解決するのは、少なくとも法律ではあり得ない、ということを、皮肉にも確認した講演会だった。

そうか、わかったぞ!

法律とは、「敵にまわすとたちが悪いが、味方にすると頼りない」存在なのだ。

だいたいの法律は、それで説明できるのではないだろうか!

法律をあてにできないとすれば、私たちは、どうすれば解決策を導き出せるのか?

だがほとんどの人は、そのことを考えようとはしない。

ふたたび私の心は、「絶望」モードへと傾いていく。

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