(リソグラフに関心のない人には面白くない話です)
1月14日(火)
夜、翌日に使う資料を印刷しようと、印刷室のリソグラフを使う。
いつも通り、原稿と紙をセットして、製版、印刷の手順で操作をする。
あとは、自動的に印刷されてくる資料を待つだけである。
一定のリズムで、印刷された紙が出てくる。
設定した枚数の印刷が終わり、仕上がったものを見て驚いた。
ビックリするくらい印刷が薄いではないか!
(またか…)私はため息をついた。(これで何度目の被害だろうか?)
話は数週間前にさかのぼる。
印刷室のリソグラフで資料を大量印刷して、仕上がった資料を見たところ、ビックリするくらい、印刷が薄いことに気づいた。
どうしてこんなことになるのか?手元の操作盤を見たところ、「印刷濃度」が「最薄」、「印刷速度」が「最速」になっていたことに、あとになって気づいたのである。
ここまでは、よくあることである。手元の操作盤で調整すればよいだけである。
ところが、何度印刷しても、出てくる資料の仕上がりは薄いのだ。
前もって濃度を指定せずに製版をすると、「印刷濃度」が最初の設定である「最薄」に戻ってしまうらしい。
そもそも、最初の設定が「最薄」である、というのがおかしい。
よくよく調べてみると、リソグラフの初期設定にあたる「環境設定」の「読取濃度」「印刷濃度」が「最薄」、「印刷速度」が「最速」に設定されていたことがわかった。
つまり、リソグラフの初期設定が、そもそも「最薄」「最速」なのである。
これでは、何度手元で操作しても、「初期設定」である「最薄」に戻ってしまうはずだ。
何者かが、リソグラフの初期設定を、わざと「最薄」に変えてしまったとしか考えられない。
それにしても、なぜ、こんな手の込んだことをしたのだろう?
ふつう、リソグラフの初期設定を変えてしまうことまでは、しない。
なぜなら、ほとんどの人は、リソグラフにそこまで関心がないからだ。
だから通常の環境においては、「印刷濃度」は「オート」、「印刷速度」は「ふつう」に設定されているのである。
「環境設定」を変えてしまおうとまで考える人間は、リソグラフに関してそうとう知識のある人間とみてよい。
それも、「最薄」という、誰も得をしない設定に変えているというのは、どういうわけか?
もし「最薄」という設定で印刷したいのならば、わざわざ「環境設定」を変えなくとも、手元の操作盤にある「読取濃度」「印刷濃度」のボタンを、そのつど「最薄」に設定すればすむ話である。
それを、わざわざ「環境設定」を変えてまで「読取濃度」「印刷濃度」を「最薄」にしたのは、なぜなのか?
そして、「環境設定」を変える、という手の込んだことを、誰がしたのか?
地味なイタズラか?
愉快犯か?
印刷室に恨みを持つ者の犯行か?
それとも、もとの原稿がよっぽど濃いために、薄く印刷する必要があったのか?
とりあえず、このことを担当の職員さんに言いに行くと、担当職員さんは、「環境設定を変えないでください!」と書いたシールを作って、目につくところに貼ってくれたのである。
ところが、それから数週間経ったこの日の夜。
リソグラフで印刷をすると、またもや、ビックリするくらいインクの薄い資料が仕上がってしまったのである。
調べてみると、やはり「環境設定」が「最薄」「最速」に変えられていた。
「環境設定を変えないでください!」というシールが貼られているにもかかわらず、この警告は、無視されていたのである!
警告をモノともしない、恐るべき犯人!いったい犯人は誰なんだ!?
私はリソグラフの「環境設定」を開き、「読取濃度」「印刷濃度」を「オート」、「印刷速度」を「ふつう」に設定し直した。
まるで、コンピューターのハッカーと、それを防ぐサイバー捜査官の「いたちごっこ」のような様相を呈してきた。
「環境設定」を直しながら、ふと思う。
もし、「環境設定」のあらゆる部分を、あらかじめむちゃくちゃに設定してしまったら、それに気づかずに印刷をした同僚たちはとんでもない被害に遭い、印刷室は大混乱をきたすのではないだろうか?
これは「サイバーテロ」ならぬ、ちょいとした「リソグラフテロ」である!
俺はリソグラフ捜査官か?
翌朝、担当の職員さんのところに行った。
「リソグラフの印刷濃度、昨日、また何者かによって『最薄』に初期設定されていましたよ。直しておきましたけど」
「またですか?せっかくシールを貼ったのに」職員さんは呆れていた。
「犯人はわかっているんですか?」
「それがわからないんです」
話を総合すると、どうやら火曜日を中心に、何者かによって「環境設定」が「最薄」に変えられているらしい。
犯人は特定できるのか?
こうなったら、火曜日に印刷室を張り込みするしかないが、私もそこまでヒマではない。
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