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思考の葛藤

1月9日(木)

4年生の卒論も、大詰めを迎えている。

この時期の状況を、「卒論渋滞」と名づけている。

今日は、隣県での所用から戻った午後2時から、夜7時半までの5時間半をかけて、8名の学生の卒論と向き合う。

これは誰でも経験的にわかっていることだが。

人間は、話をすることによって思考が整理されていく。

毎年心がけているのは、できるだけ話を聞くことである。

もちろん、個人差があり、私と話したいという人もいれば、なるべくなら私と話したくない、という人もいるだろう。それは当然のことである。

いろいろな話をしていると、見通しがついてくるような気がする。

この時間が、けっこう長い。

いつもわからないのだが、個別指導って、他の同僚たちはどうやっているのだろう?

自分のやり方が合っているのか、間違っているのか、それすらもよくわからない。

ひょっとしたら、もっとスムーズにできるのではないか?などと考えたりする。

そんな合理的なやり方もわからないまま、10年以上も同じやり方を続けている。

なんともつかみどころのない作業で、記録に残ったりするような仕事ではない。

まことに不思議なことに、職場においては、評価の埒外にある仕事なのである。

しかし、そのつかみどころのない作業も、卒論を形にしていくための重要な過程であることだけはたしかである。

卒論は、完成すればいいというものではなく、その過程にある「思考の葛藤」こそが、たぶん何かの成長につながっているのだと思う。

語学のように、目に見えて実力がつく、というものでもない。

こういう「わかりにくい成長」が、評価されなくなってしまう世の中になってしまうのかと思うと、大変残念である。

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