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地図のない初詣

1月2日(木)

年末年始を返上して脇目もふらず原稿を書いている友人や、鉢巻きで卒論を書いている学生たちをよそに、こちらは、映画を観たり、正月料理をたらふく食べたり、昼寝をしたり、読書をしたり、散歩に出かけたり、姪の遊び相手をしたりと、申し訳ないくらいに、いたって平凡な年末年始を過ごしている。

新年のメッセージをくれたのは、お互いの連絡先がわからないので毎年このブログのコメント欄で新年の挨拶をしてくれたこぶぎさんと、韓国の友人が1人、そして、学生が1人の、合計3人だけである。

なんとも寂しい新年である。

午後、思い立って、一人で初詣に行くことにした。

家族からも友人からも運動不足が指摘され、今年こそは運動を最重要課題と位置づけなければならないと、思いを新たにした。まずは、歩くことである。

歩いて30分くらいあるところに、とても有名なお寺があるのだが、どうやったらたどり着くのかがよくわからない。このあたりは住宅が密集している地域で、狭い道路が迷路のようにいくつも曲がりくねっているような町なのである。

私はスマホではなく、ガラケーを使っているので、ナビゲーションのようなものもない。

仕方がないので、地図にたよらず、だいたいの方角だけをたよりに歩いて行くことにした。

有名なお寺であるにもかかわらず、まちなかには、不思議とそのお寺の方角を示す看板が見当たらない。道路によくある、地図の看板のようなものも、見当たらないのである。

住宅地のあいだを縫うように伸びている細い路地を歩きながら、とりあえずその方角をめざすのだが、本当に方向が合っているのか、不安になってきた。

30分たっても、まだたどり着く気配がない。

歩いていると、路地の曲がり角から、「破魔矢」を持った人が出てきた。

破魔矢を持っている、ということは、初詣の帰りということである!

さっそく、その人が出てきた路地のほうに曲がると、今度は路地の前方に、若者3人組が歩いているのが見える。

(あの3人組は、初詣に行くに違いない!)

3人組のあとをつけていくことにした。住宅地の路地なので、ほかに歩いている人はほとんどおらず、3人は、ちらちらと私のほうを見ている。

(あとをつけている私のことを、不審者だと思っているに違いない)

しかし初詣のためならば仕方がない、と思い、ずっと後をつけていると、大きな通りに出た。

(よかった。お寺に近づいたぞ)

と思った矢先、3人はなんと、大きな通りに面しているラーメン屋に入っていったのである。

(おい!初詣じゃないのかよ!)

これでまたわかんなくなっちゃった。周囲には人がほとんど歩いておらず、本当にこのあたりに大きな寺があるのか、ふたたび不安になってきた。

ふと電信柱を見ると、現在地の住所が書いてあり、「○○寺東町」とある。

(「○○寺東町」ということは、西に向かって歩いて行けば、目的地の○○寺にたどり着くということだな!)

今度は電信柱をたよりに、西へ西へと歩いて行くが、行けども行けども、電信柱の住所は「○○寺東町」のままである。

(いったい、いつになったらこの町から出られるのだ?)

そう思って歩いているうちに、いつのまにか電信柱の住所は「○○寺北町」になっていた。

ええええぇぇぇぇぇ!!どういうこっちゃ?

少し南に軌道修正すると、電信柱にはまた「○○寺東町」の町名が。

(どうなっているんだ?)

さらに西を進もうとするが、西に行く道は、畑の中の小道しかない。

(いよいよわけがわからなくなってきた…)

しばらく歩いていると、また大きな道に出た。今度はたくさんの人が歩いている。

(ようやくたどり着いた)

すでに1時間以上が経過していた。どうやってたどり着いたのかは、もはや復元できない。

Photo

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初詣の参拝客が、ものすごく多い。

すでにこちらはすっかりヘトヘトになってしまった。

参道に軒を連ねているお店や屋台を歩いていると、

「地ビールはいかがですか」

という声が聞こえる。

歩いてきて、すっかり喉が渇いてしまったこともあり、思わず地ビールに惹かれる。

考えてみれば、先月27日に忘年会でお酒を飲んで以降は、年末年始、まったくアルコールを口にしていないのだ!

こっそり飲んでやろう、と思い、1本買って、その場で飲むことにした。

Photo_2

喉が渇いていただけに、救われるような味である!

これぞ、本当の「地(寺)ビール」である!

…ということで、「一人で歩いて初詣に行きました」というお話しでございました。

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

今年もよろしくお願いします。
斬新な構図の年賀状拝見いたしました。
発行してる方の社員のくせに5分で作った私の年賀状とは雲泥の差です。

さて、寺の名前クイズとお見受けしたので、私の解答は、
松本清張『波の塔』に登場する寺ということにいたします。

投稿: 江戸川 | 2014年1月 3日 (金) 11時05分

江戸川君、正解です!

松本清張の小説を出してくるあたりは、私のツボをおさえてくれてますなあ。

投稿: onigawaragonzou | 2014年1月 4日 (土) 02時11分

明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いいたします。2月、お会いできるのを楽しみにしています。
やけに色っぽいだるまさんですね。

投稿: hughko | 2014年1月 4日 (土) 03時04分

あけましておめでとうございます。
写真のだるまは「だるチャン」といって、このお寺のゆるキャラのようです。

投稿: onigawaragonzou | 2014年1月 5日 (日) 01時24分

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