文化系少年の共演
高野寛って、どのくらいの知名度なんだろう?
私と同世代ならば、中学生のころにYMO(Yellow Magic Orchestra)というバンドに傾倒していた男子は多かったのではないかと思う。
やがて1990年代頃から、YMOに影響を受けたミュージシャンが活躍するようになる。彼らは「YMOチルドレン」とも呼ばれた。高野寛も、その一人である。
ちなみに、私とほぼ同い年のライムスター宇多丸さんも、YMOの影響を強く受けた一人である。子どもの頃、楳図かずおのマンガにも強い影響を受けたとラジオで語っていたから、思春期の人格形成は、私とまったく同じである。
それはともかく。
高野寛が出した「Sorrow&Smile」というアルバムは、珠玉の名曲集である。たしか坂本龍一がプロデュースしたアルバムだと記憶しているが、違うかもしれない。アレンジを担当していたことは、たしかである。
この中に、「夢の中で会えるでしょう」という曲があって、もともとはキングトーンズという老舗の男性コーラスグループに提供した作品である。
キングトーンズは、「Good Night Baby」というヒット曲で有名であるが、「夢の中で会えるでしょう」は、この曲のテイストを生かした、名曲である。
高野寛本人が歌ったバージョンでは、坂本龍一がアレンジをしていた。
20年ほど前、武道館で行われた坂本龍一のコンサートに行ったとき、ゲストとして高野寛が登場し、この歌を歌った。その日のコンサートの曲の中で、いちばん盛り上がったのが、この曲だった。
「僕の曲よりも、みなさん盛り上がってますね…」
と、坂本龍一がそのときボソッと言ったことを、今でも覚えている。
ところで、NHK教育テレビでむかし、「ソリトンSide-B」という、サブカル好きな若者向けのトーク番組があって、その番組の司会が、高野寛と緒川たまきだった。
坂本龍一がゲストの回のとき、番組のエンディングで「夢の中で会えるでしょう」を二人で演奏したのだが、リアルタイムで見ていて、これがことのほかすばらしかった。1990年代の半ばくらいだったと思う。
番組用に、高野寛のギターと坂本龍一のピアノだけのアレンジで演奏されたのだが、このアレンジがじつにすばらしく、アルバムのオリジナルバージョンよりも、好きだった。
とくに、坂本龍一のピアノ伴奏は、すごくかっこいいなあと思った。
そのときの演奏をもう一度見てみたいなあと、長い間ずーっと思っていたのだが、ふと思い立ってインターネットで検索してみると、動画サイトにあがっていることがわかった。
やはりこの演奏は、すばらしい。
今見ると、高野寛も坂本龍一も、とても若い。
二人とも、文化系少年をこじらせたような雰囲気である。
映像を見ると、高野寛と一緒に司会していた緒川たまきが、静かにたたずんで二人の演奏を聴いている。
緒川たまきは当時、サブカル好きな若者たちに熱烈な支持を受けていた女性だったと記憶する。
文化系をこじらせた少年が、大人になって共演した演奏。
「夢の中で会えるでしょう」
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コメント
PV 高野寛 虹の都へ
http://www.youtube.com/watch?v=gPocjv35tqA
パチンコ屋の景品でよくCD引き換えてたっけ。
ソリトン SIDE-B ブラボーミュージック特集 1/2
http://www.youtube.com/watch?v=aOAvOYwWtj0
オーケンにテイトーワですぜ。
投稿: ベステンダンクこぶぎ | 2014年1月17日 (金) 20時40分
おお!こんな身近に同志がいたとは。「ソリトンSide-B」のオープニング曲は「All over Starting over ~その笑顔のために~」でしたね。これも名曲です。
投稿: onigawaragonzou | 2014年1月17日 (金) 21時54分