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演歌風ニューミュージックで煮染める

このブログも、気がついたら、何と1500本近くの記事を書いている。

最近はすっかり飽きられたのか、読者が離れていっているようなので、まったくわからないことを書いてやろう。

高校生の頃、大晦日の紅白歌合戦の裏番組として、日本テレビで年末時代劇スペシャル、というのをやっていた。里見浩太朗とかが主演で、数多くのキャストが出て、とにかく、映画並みのお金と時間をかけてつくられた時代劇だった。たしか、この年末時代劇スペシャルは、数年は続いたと思う。

私は当時、その時代劇が、けっこう好きだった。「時代の悲哀」みたいなものを感じさせるストーリーだったのだ。

ストーリーもさることながら、主題歌もまた、話題になった。

1986年の「白虎隊」の主題歌は、堀内孝雄の「愛しき日々」

1987年の「田原坂」の主題歌は、堀内孝雄の「遙かな轍」

1988年の「五稜郭」の主題歌は、さだまさしの「夢の吹く頃」

1989年の「奇兵隊」の主題歌は、さだまさしの「冬の蝉」

1990年の「勝海舟」の主題歌は、堀内孝雄の「青春で候」

いずれも名曲であることには違いないのだが、高校生の私は当時、どうも腑に落ちなかった。

「フォーク」とか「ニューミュージック」とかいっていたミュージシャンが、時代劇の主題歌を歌い、しかも演歌みたいな歌を歌っていたことに、である。

「アリス」って、こんな枯れちゃいなかったぜ、なんて思ったりして、ちょっと違和感を抱いたのである。「アリス」のファンは、当時どう思っていたんだろう。

そう思ってつらつらと考えてみると、もともとこの傾向は、80年代前半にさかんに公開されていた「戦争大作映画」の影響を受けているのではないか、という仮説に行き着いた。

1980年公開の「二百三高地」(東映)の主題歌は、さだまさし「防人の歌」

1981年公開の「連合艦隊」(東宝)の主題歌は、谷村新司「群青」

1982年公開の「大日本帝国」(東映)の主題歌は、五木ひろし「契り」

1983年公開の「小説吉田学校」(東宝)の主題歌は、堀内孝雄「少年達よ」

「小説吉田学校」は戦争大作映画ではないが、オールスターキャストの大作映画という点では、作品のテイストは変わらない。

こうしてみると、「アリス」とさだまさしがぶっちぎりで、戦争大作映画の主題歌を歌っているんだな。

「年末時代劇スペシャル」の主題歌は、こうした「戦争大作映画」の流れを引くものであることは、ほぼ確実である。

80年代はどういうわけか、こうした「時代に翻弄された人たちの悲哀」というものを戦争や時代劇を通して描き、最後に「演歌風ニューミュージック」で煮染める、というスタイルが、好まれていたらしい。

作風も出演陣も演出も、戦争大作映画や大型時代劇にかかわらず、ほとんど同じである。

…とここまで書いてきて気がついた。

最近もそうじゃないか?

「男たちの大和」とか、「永遠の0」とか、最後はやはり「演歌風ニューミュージック」とか「演歌風ロック」で煮染めているんじゃないだろうか?

私はどちらも見ていないので、よくわからないが。

ただひとつ言えることは、ニューミュージックやロックの歌手が、「戦争大作映画」の主題歌を歌うようになると、私の心は、なんかザワザワしてしまうということだ。

高校生の頃、「腑に落ちない」と思ったように、である。

「ああ、あいつもついにそうなっちゃったか」と。

この微妙な気持ち、たぶん誰にもわからないだろうなあ。

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コメント

さだ研 Q&A(早稲田大学さだまさし研究会 BLOG)
http://ameblo.jp/waseda-sadaken2010/entry-11610613752.html

上の記事の中で、さだ研の活動内容に「パンプキンパイ作り」が入っている理由
http://www.youtube.com/watch?v=r2_jDNICGP0


天才・秀才・バカ(谷村新司・ばんばひろふみのセイヤング)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E6%89%8D%E3%83%BB%E7%A7%80%E6%89%8D%E3%83%BB%E3%83%90%E3%82%AB
(べーやんじゃないけど。下ネタを他人様のコメント欄にリンクするのも何なので、当時の音源はユーチューブで探してください)

投稿: ニューミュージック風深夜ラジオで煮戻す(こぶぎ) | 2014年2月 8日 (土) 08時42分

そうそう、アリスとさだまさしはこの時期、深夜ラジオでもぶっちぎりでしたね。バンバンの「青春大通り」も、よく聴いてたっけなあ。
さだ研のブログ、面白いですねえ。

投稿: onigawaragonzou | 2014年2月 8日 (土) 23時31分

俺もそう思う。だからストーンズやボブディランには行く。変わらなさと進化するすごさ。あーいうオヤジになりたい。ただキースリチャーズのパイレーツオブカリビアンは微妙(笑)。

投稿: A.U | 2014年2月11日 (火) 02時59分

Uさんはああいうオヤジになれると思いますよ。「変わらなさと進化」、これが我々のキーワードですね。

投稿: onigawaragonzou | 2014年2月11日 (火) 22時07分

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