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一期一会

2月17日(月)

昨日、I先生の定年退職記念祝賀会に参席した折、

「先生」

と声をかけてきた男性がいた。見知らぬ男性である。

「僕、1年生のときに、先生の授業をとっておりました」

I先生の教え子ということは、他部局の学生だった、ということである。1年生のときに、教養課程の私の授業をとってくれていたという。

「あの授業、最高でした」

「そうですか。ありがとうございます」

「僕、F君と同級生なんです」

F君、というのは、5年ほど前に卒業した、私の指導学生である。

「2年生以降になってからも、F君からいつも先生のお話をうかがっていました。先生がF君に勧めた本を、今度はF君が僕に勧めてくれて、それを読んだりしていました」

「そうでしたか」

なんとも嬉しい言葉である。

そして今日。

お昼休み、構内のコンビニで買い物をしていると、

「先生」

と声をかけてきた女子学生がいた。これまた他部局のYさんである。

Yさんもまた、私の教養課程の授業を受講していた。

「先生、いろいろとありがとうございました。いま先生を見かけたので、ご挨拶しておこうと思いまして」

Yさんとも、教養課程のマスプロ授業でしか、つながりがなかったのだ。よく覚えていてくれたものだ。

そういえば、道端で拾った寛永通宝を持ってきたのも、Yさんだった。

「こちらこそ、ありがとう」

大勢の教員うちの一人であるはずの私に、わざわざ挨拶をしてくれたのは、とても嬉しい。

しかも、教養課程の授業を、覚えておいてくれたのだ。

これを教師冥利と言わずして、なんと言おう。

あまりに嬉しかったので、書きとめておく。

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