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ぜんぶ雪のせいだ!

2月15日(土)

結論から言うと、今日はタイヘンな1日だった!

今日の予定は次の通りである。

朝9時から夕方5時まで、市内の中心部にある「第一小学校に隣接する公共施設」で、ボランティア作業である。

このボランティア作業は、今日と明日の2日間行われるが、「同い年の盟友」Uさんが企画して段取りを組んだもので、Uさんの熱意に応えるためにも、ぜひとも参加しなければならない。

それが終わると今度は、昨年3月に卒業したCさんと食事会の予定である。

昨年3月に卒業したCさんは、例の「詰めがあまい学年」の一人である。いまは隣県の職場に勤めている。

卒業してから何度か、こちらに遊びに来るついでに私のところにおしゃべりをしに来たい、とメールをもらっていたのだが、そのたびに私は、出張などで、職場を不在にしていた。

そんなすれ違いが、これまで3回ほど続いていたのだ。タイミングが合わないこと甚だしい。

そこで、満を持して今日は夕方に食事会をしようということになったのである。

さて、朝起きると、外は大雪である。

天気予報を見てわかってはいたが、それにしても朝からかなり降っているではないか。

車に降り積もった雪を払い落として自宅を出発し、午前8時45分、やっとの思いで、ボランティア作業場の「第一小学校に隣接する公共施設」に到着した。

すでにUさんは到着している。

Uさんばかりではない。Uさんの奥さんも来ていた。

今回のボランティア作業は、Uさんが人集めから場所の確保、作業の分担や弁当の手配まで、ほとんど一人で獅子奮迅の活躍をしていた。さすがに一人では手が足りなかったので、奥さんにも登場願ったらしい。

「こんな雪で、人、集まるでしょうかねえ」

心配をよそに、次々と人が集まってきた。最終的には20人以上にもおよんだ。私にとっては、初めてお会いする人ばかりである。

午前9時、作業開始時刻である。人が集まったところで、今回の企画者のUさんが、みんなの前で、今日の段取りを説明する。

「オレの生きざま、よく見ておけよ」

Uさんは奥さんにそう言うと、集まった人たちの前で、今日の段取りの説明をはじめた。

20人もの人たち、それも、お互いが初めて会うような人たちをまとめていくことは、容易なことではない。

「オレの生きざま、よく見ておけよ」

とは、そうした人たちを束ねようと努力しているオレの姿を見てほしい、ということなのだろう。

私はその言葉に、奥さんへの愛情を感じ、感動を覚えたのであった。

段取りの説明が終わり、各自がそれぞれの作業を始める。

やや落ち着いたころ、Uさんに

「生きざま、奥さんに見せることができましたね」

と言うと、Uさんは、

「オレ、どうだった?って聞いたら、『あんた、段取り悪すぎ!』と言われました」

Uさんは奥さんに言われた言葉に、かなり凹んだ様子だった。

それはさておき。

私の役目は、パソコンでデータ入力をする仕事を、束ねることである。

大人から高校生まで、10名ほどが、別室にならべられたノートパソコンの前に座り、入力作業を行う。

その作業の差配を行うのである。

私自身が慣れていないこともあり、いろいろなところに気を配らなければならず、かなり神経を使う。

それでも、順調に作業は進み出した。

だが、外は相変わらずの大雪である。

お昼頃だったか、鉄道が全面運休し、県外とを結ぶ幹線道路がすべて通行止めになった、というニュースが入ってきて、

(とうとう、ここも陸の孤島になってしまったか…)

と、窓の外で降りしきる雪を見ながら、ため息をついた。

「こりゃあ、帰れませんね」

隣県に住む作業仲間のSさんは、今日はこの近くのホテルに泊まることを決めたという。

携帯にメールが来た。卒業生のCさんからである。

「今日お会いする予定だったのですが、雪で高速バス、電車ともに運休となってしまいました。なんでこの日に限ってこんな悪天候なんでしょう!今回はぜんぶ雪のせいだということで、いずれまたお会いする機会を設けたいと思いますので、そのときはよろしくお願いします」

なんと、これで4度目の「すれ違い」である!

こうなるともう、一生会える気がしないな。神様がわざと会わせないようにしているとしか思えない。

夕方4時過ぎ、1日目の作業は終了した。

慣れないこともあり、むちゃくちゃ疲れたが、志を同じくする仲間たちとの作業は、やはり充実感がある。

夕方、車で家に帰ることにするが、降った雪の上にできた轍が凍り、大変な悪路である。

やっとの思いで家に戻ると、駐車スペースに、これまでみたこともないくらい、雪が積もっていた。

(仕方ないな。やるか…)

雪かきをしなければ、生きていけない土地なのである。

雪のバカヤロー!

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コメント

東京が大雪の土曜日、事務仕事で休日出勤した。

以前集めた資料を全部読み込んで、ネットで現況を調べる。しかし、昔はパソコンで講義をノートテイクするだけでも凄いことだったのに、今では先生の声をiPhoneで拾って別室に送り、音声認識入力して、利用者の前のパソコンに表示するなんてことができるんだね。

まあ、このコメントだって音声認識入力してるくらいだから、当たり前か。

気がつくともう夜中の3時である。そろそろ帰ろうと、表に出た。

(しまった)

足を踏み入れると、膝下ぐらいまで雪が積もっている。遠くを見やると、暗がりの中、自分の車が、かまくらのように雪に埋もれていた。

しかし、校舎の入り口にはオートロックがかかって、中には戻れない。やむなく、ずぶずぶと車の近くまで歩いていくが、車のドア部分まで雪が積もっている。しかも駐車場の敷地全部が、この高さで雪に埋もれているようだ。

去年の今頃、同じようなコメントを書いた記憶があるが、あれはふーみん先生の下宿へ向かう道での話だった。今年は、まさに自分が働く職場の中で遭難したのである。

スウィングする人たち・2日目
http://yossy-m.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/2-40ad.html

車の中で暖をとっているうちに寝込んで、排気ガス中毒になるのも困るので、スコップで掘り、車をバックさせて行けるところまで進み、また掘り返す、という終わりのない作業を続ける。バックで急発進するのでなかなか方向性もつかめず、駐輪場や立ち木にぶつかりそうな方向を、少しずつスコップで掘って変えながら、絶望的に孤独な作業を続けた。

どれだけ掘ったであろうか。やっと校門が見えてきた。道路には除雪車の黄色いパトランプの明かりが見えていたから、あそこまで行けば大丈夫だ。

その時、後ろから人影が歩いてきた。新聞配達のお兄ちゃんのようだ。バイクが校門の外に止めてある。それを見て愕然とした。

そう、あの除雪車は道路の雪を、道の両脇に押しのけていて、校門と道路の境に「万里の長城」のような雪の土手をうず高く築いていたのであった。

力抜山兮気蓋世 時不利兮騅不逝
騅不逝兮可奈何 虞兮虞兮奈若何

万事休すである。

意を決して、リュックから重い本を取り出し、代わりに食料を詰め変えると、駐車場のど真ん中に車を乗り捨てた。歩いて家まで帰ることにしたのである。

車なら10分ぐらいの距離であるが、この雪である。車中で凍死することはなくなったが、八甲田山ばりの雪中行軍であることには変わりない。

トボトボと歩き出す。近道せずに、あの憎き除雪車が雪を押しのけた車道を行くことにした。

うわー!!!!

雪道に慣れているとは言え、夜明け前の道路は圧雪状態。画に描いたように、足を滑らせて仰向けにひっくり返ってしまった。この前見た韓国映画「七番房の奇跡」とおなじ目にあうかと思ったが、高校の柔道の授業で「受け身」を習っていたことが幸いして、後頭部を強打せずに済んだ。

時刻はもう午前5時である。偉いもので、こんな早朝から地元の人たちは、家の前の雪かきをしているのである。

「足下が滑りますからお気をつけください」なんて声をかけてくれるが、もうすでに遅い。

何度も足を取られながらアパートに着く頃には、白々と夜が明けてきた。

(うわあ)

当たり前であるが、アパートの駐車場も職場のそれと同じように、膝下まで雪で埋まっていて、建物の入り口まで、足の踏み場がなかった。もちろん「万里の長城」も、しっかりと築かれている。

やっとの思いで部屋に戻ると泥のように眠った。起きると12時過ぎである。急いで身支度を整えるとバス停からバスに乗る。駐車場のど真ん中に置き去りにしてきた、わが車を救出回収しなきゃいけないである。

ただし今回は勝算があった。このバスは、職場の駐車場内にあるバス停に停まるので、そのあたりまでは、市の除雪車が毎日除雪してくれるのである。昨晩、車を駐車場のど真ん中にそのまま乗り捨ててきたのは、これを見込んでのことである。

大雪で10分遅れのバスは、やがて職場へたどり着いた。バスの窓から外を見る。

そこには、車一台分ほどの雪山が、周囲の雪の海と一緒に、寂しく取り残されていた。

投稿: 大雪被害者の会(こぶぎ) | 2014年2月16日 (日) 14時23分

読んでいて映像が浮かびます。まさに現代版「デルス・ウザーラ」!そしてこれが、真夜中から未明にかけての出来事だったとは…ほとんど遭難といってもいいじゃないですか!

除雪車が築いた「万里の長城」って、たぶん雪国の人間ではないとわからないだろうなあ。私はすげえよくわかりますけど。

投稿: onigawaragonzou | 2014年2月16日 (日) 23時02分

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