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雪の晴れ間の村に行く

2月13日(木)

同世代の友人からメールが来た。昨日の記事の感想である。印象的だったので無断で紹介、御免。

「詰めがあまい話、久しぶりに笑った。こういうの大好き。こういう毎日だったらいいのにな。だめか」

「こういう毎日」、か。毎日いろいろなことに出くわすが、考えてみたら、私は案外幸福に暮らしているのかも知れない。自分ではまったく自覚していないのだが。

3週間くらい前、仕事部屋に電話が来た。隣県のある村の、見知らぬ職員さんから、仕事の依頼である。

「ぜひいちど、うちの村に来てください」という。

電話口の、人のよさそうな声に惹かれたのと、何より、私を信頼して電話をしてくれたことに感謝して、村にうかがうことを約束した。

そして今日。

車で2時間半ほどかけて、その村に向かった。途中、大きな峠を越えなければならないが、幸い、天気は晴れていて、雪に困らされることもなかった。

人口3000人ほどのその村は、幹線道路からはずれたところにあり、ひっそりとしている。国道には村に入る標識もなく、あやうく通り過ぎるところだった。

学生時代、いちどこの村にあるお寺に訪れたことがあったのだが、20年以上も前のことで、記憶にない。それからいままで、車で何度か、この村を通り過ぎることはあった。

迷いながらも目的地の公民館に着くと、二人の職員さんが出迎えてくれた。

「お待ちしておりました」

「遅くなってすみません。途中、道に迷ってしまいまして」

「どうぞ靴を脱いでお上がりください」

靴を脱ぐと、

「すみません。このまま2階に上がっていただきます」

靴下のまま、ヒタヒタヒタ、と、階段を上がった。

どういうわけか、この建物にはスリッパがないようで、職員さんもみな、床の上をスリッパを履かずに、靴下のまま歩いている。

万が一、石田純一みたいに素足に靴を履いてきた人だったらどうするのだろう、やはりその時も、裸足でヒタヒタヒタ、と歩くのだろうか、と、よけいなことを考えた。

「不便ですみません。いま、私どもの部局は、ここの2階に間借りしているもので」

会議室のようなスペースのひと部屋を、作業部屋として使っているようだった。

この部屋で、初対面の職員さん二人と数時間、話をしながら仕事をすることになったのだが、二人ともいい方で、来てよかったと思った。

いつも思うのだが、異業種の人と仕事をするのなら、肩書きどうしではなく、人間どうしで仕事がしたい、と。

「その肩書き」だから一緒に仕事をするのではなく、「その人」だから、一緒に仕事がしたい、と。

仕事の大きさには関係なく、である。

そういう仕事に出会えたときは、とても心地よい。今日も、そんな仕事だった。

では目に見える成果が上がったのか?と言われると、返答に窮するが、目に見える成果だけが、尊いわけではない。

「肩書き」どうしをつき合わせて、目に見える成果だけを追い求める仕事には、できるだけかかわらないようにしよう。

いい人たちと、仕事をしよう。

残りの人生で、どこまでそれが貫けるか。

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