楽しむ生き方
もはや体力と気力の限界である。
今年度で定年退職する同僚の挨拶を、いろいろな場所で聴いていて、
「すごいなあ」
と思ってしまった。
その同僚は、長らく商社に勤めていて、おそらく商社の定年退職を目前にして、東京からうちの職場に移ってきたのだと思う。この3月までの6年間、それまでとはまったく異なる職業である「田舎教師」をつとめていたのだ。
挨拶ではもっぱら、
「楽しかった思い出しかない」
「まったく飽きることがなかった」
と話していた。それをいかにも楽しそうに話すので、本当に、この6年間を楽しんでいたんだろうなあ、と思う。
私の勝手なイメージでは、生き馬の目を抜く商社から、独特の文化や因習を持つこの職場に移ったら、文句の一つでもいいたくなるのではないだろうか、と、思ってしまう。
しかし、この同僚には、そんなところが微塵もない。
学生の間での授業の評判もよかったそうだ。長らく社会で実践を積んでこられた方なので、お話も歯切れよく、面白かったのだろう。
ゼミに集まってくる学生も、面白い学生が多かったのだと思う。
本人が楽しんでいると、それを面白がる人が周りに集まってくるのだ。
以前、私が職場で企画した「眼福の先生」の講演会にも、専門分野がまったく異なるにもかかわらず、聴きに来ていただいた。しかもそのときは、その同僚とまったくお話をしたことがなかったので、義理で来てくれた、というわけではない。ただ、楽しみに来てくれたのである。そんな感じで聴きに来てくれた同僚は。たぶんその方だけである。それが、とても嬉しかった。
先日の送別会で、はじめて、その同僚とお話しすることができた。
わずかな時間の立ち話だったが、専門分野の異なる私のところにわざわざ来ていただいて、四方山話をした。
私の話に合わせつつ、ご自身の経験をふまえたお話をされたりして、その話題は尽きることがなかった。
もっと早くから、こうしたお話が日常的にできていたら、いろいろなことを学べたのではないか、とも思った。
いつも思うのだが、人はなぜ、身近に師がいることに、気づかないのだろう。
F先生、お疲れさまでした。これからも、楽しい人生を!
| 固定リンク
「職場の出来事」カテゴリの記事
- まだ月曜日かよ!(2023.01.24)
- ○○の玉手箱(2023.01.18)
- 何でも言って!(2023.01.14)
- 100字原稿マシーン(2023.01.05)
- シャレオツなメディアキャラバン(2022.12.21)
コメント