絶対に理解されない大林映画
以前、「絶対に薦められない大林映画」として紹介した、「日本殉情伝 おかしなふたり ものくるほしきひとびとの群」。
借金の取り立て屋である室田(三浦友和)のもとに、風のように現れた旅人、山倉(竹内力)。山倉は、妙なアイデアを考えては、室田をたきつけて、アイデアの開発にお金を投資させるが、どれも失敗する。室田は山倉に騙されながらも、その飄々とした性格に、憎めない感情をいだいていく。
そこへ、刑期を終えた室田の幼なじみ、成田(永島敏行)があらわれる。
室田と成田の間には、深い友情と憎しみが交錯していた。映画の終盤で、室田と成田は、殴り合いのケンカを始める。
室田の妻であり、2人の幼なじみでもある夕子(南果穂)は、2人のケンカに原因が自分であることに気づき、なんとか止めようと、山倉に助けを求める。
「今すぐ来てください!室田さんと成田さんが、…殺し合っています!」
夕子に助けを求められた山倉は、寂しそうな表情で、ひと言つぶやく。
「…僕だって殺し合いたい」
夕子は山倉の言葉に、驚く。
たぶんこの映画の、いちばんの見せ場である。
旅人の山倉にとっては、自分が室田にいくら気に入られようとも、所詮は旅人である。成田と室田、そして夕子の3人の関係に、山倉はどうしても立ち入ることができなかったのだ。
そう考えると、日常の中で軽口をたたける関係にある人たちって、うらやましい。
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