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泣いた侍

落語ブームに続いて、童話ブームが到来か??

「泣いた侍」

どこの村か、わかりません。

ある村のお百姓さんが、荒くれ者の野武士たちにとても困らされていました。

収穫のころになると、野武士たちが食べ物をぜんぶ奪い取ってしまってしまいます。

野武士たちの自分勝手な行動に、お百姓さんたちはとても困っていました。

「野武士お断り」という看板を立てても、かまわず野武士がやってきます。

何かいい知恵はないものか、と考えた末に、侍を雇って村を守ろう、ということになりました。

お百姓さんの気持ちを知った侍が、村を守ることに協力してくれることになりました。

最初は、侍が村を守ってくれるのか、半信半疑でしたが、侍は、村を守るために、さまざまな知恵を出しました。お百姓さんの愚痴や弱音も、黙って聞きました。

こうして、お百姓さんと侍は、お互いを信じるようになりました。

侍のうち、いちばん若い侍は、村の娘と、恋に落ちました。

最初はばらばらだった村のお百姓さんたちは、侍のおかげで、だんだんまとまっていきました。

さて、いよいよ収穫の時期がやってきました。

思った通り、野武士が村を襲ってきました。

お百姓さんたちは、侍と一緒に、村を守り抜きました。

侍のおかげで、村は野武士の手から守ることができましたが、侍のほうにも、多くの犠牲が出ました。

さて、村を守った侍は、村を出て行くことになりました。いよいよ別れの時です。

別れがつらくて、お百姓さんは泣いたんだろうって?

いえ、全然違います。その反対です。

お百姓さんたちは、今までと何一つ変わりなく、みんなと田植えをしたり、お祭りをしたり、一緒にご飯を食べたりしていたのです。

まるで、最初から侍なんていなかったかのように。

とくに村の娘に恋をした若い侍は、ひどくショックを受け、落ち込んでしまいました。それで、

「娘さん。みんなと仲良くして、楽しく暮らしてください。もし、ぼくがこのまま村にいると、君も悪い人だと思われるかもしれません。それで、ぼくは旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。さようなら、体を大事にしてください」

と伝えようと思いましたが、長老の侍に、

「やめておきなさい」

と言われました。

「今度もまた、負け戦だった」

若い侍が、驚いた顔で長老の侍の顔を見ると、長老の侍は続けました。

「勝ったのはあの百姓たちだ。儂(わし)らではない」

長老の侍の言葉を聞いた若い侍は、何度も村を振り返り、泣きながらこの村をあとにしました。

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「泣いた金魚屋の彼氏」

むかしむかし、あるところに特殊機関に勤務する男がいました。

男は、金魚屋を営む恋人と仲良く暮らしていました。しかし職業柄、相手に自分の素性を明かせないままでした。

そんなある日、何者かが、映画のあらすじを童話の形にして、結末までブログで公開してしまう事件が起こりました。

浜村淳の映画解説じゃあるまいし、映画の結末を次々とネタバレされては、文化コンテンツの輸出促進という国家戦略にとっても重大な脅威となってしまいます。

男は、うまく犯人の一味を、とある劇場におびき寄せて待ち伏せ攻撃しますが、犯人の仲間である「伝説の女スナイパー」の手助けで、逃げられてしまいました。

手負いの女スナイパーを尾行した男がたどり着いたのは、なんと自分の彼女の金魚屋でした。

男は任務と愛情の板挟みになって、パトカーで市中を暴走するほど、とても悩みました。

一方、男の相棒も、映画会社に置いてあった水槽の中の金魚に盗聴マイクが仕掛けられていることを見破り、金魚の仕入れ先であった金魚屋を急襲しますが、返り討ちに遭ってしまいます。

駆けつけた男は瀕死の相棒から、犯人達の本当の目的が、サッカーの国際親善試合の席で、黒澤映画の全あらすじをを全世界に向けてネタバレさせることだと教えられます。

男は満員のサッカー場に駆けつけると、犯人一味と死闘を繰り広げ、とうとう、本当は女スナイパーだった自分の彼女を追い詰めます。

そして銃を向けると、自ら任務を果たしました。

家に戻ると、男の留守番電話に彼女のメッセージが残っていました。

「黒澤映画のネタバレ童話集はロイヤルボックス上方のドームライトの中にあるわ。地下変電室からライトを当てて、世界にお披露目するはずよ。

お願いがあるの。鬼瓦さん、私の前に現れないで。他の人をよこして・・・。

鬼瓦さんと一緒だったこの1年・・・それは私の人生の全て。ありのままの私だった。

「私を理解して欲しい」なんて言わない。

鬼瓦さん、ブログで出来ない話がたくさんあることは知っていたの。「ヤマアラシ」の話だって直接話したほうがいいわ。

今、ちょっとだけでも逢いたい・・・逢・・逢いたいの・・・」

男は受話器を静かに置くと、オイオイと泣きました。

投稿: コネ入社こぶぎ | 2014年3月16日 (日) 18時09分

「泣いた宇宙飛行士」

どこの星か、わかりません。

宇宙船が不時着した星は、猿が支配する惑星でした。

猿は、不時着した人間たちとも仲良くしたいと考えて、自分の家の前に、「心のやさしい猿のうちです。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます」と書いた、立て札を立てました。

けれども、人間は疑って、誰一人遊びにきませんでした。猿は悲しみ、信用してもらえないことをくやしがり、おしまいには腹を立てて、立て札を引き抜いてしまいました。

そして猿は、人間をお客さんとして招くことをあきらめ、人間たちをこき使いはじめました。

困り果てた人間は、一人の猿に相談しました。その猿は、とても人間思いの猿でした。

人間思いの猿は、わけを聞いて、人間のために次のようなことを考えてやりました。

人間思いの猿が、猿の惑星で大暴れをする。そこへ人間が出てきて、人間思いの猿をこらしめる。そうすれば、猿たちも、自分たちの仲間だということがわかるだろう、と言うのでした。しかし、それでは人間思いの猿にすまない、としぶる人間を、人間思いの猿は無理やり引っ張って、出かけて行きました。

計画は成功して、猿の惑星の猿たちは、人間と仲よくなりました。人間は、とても喜びました。しかし、日がたつにつれて、気になってくることがありました。それは、あの日から訪ねて来なくなった、人間思いの猿のことでした。

ある日、人間は、人間思いの猿の家を訪ねてみました。家は戸がかたくしまっていました。ふと気がつくと、戸のわきには、貼り紙がしてありました。そしてそれに、何か字が書かれていました。

「人間くん、猿たちと仲良くして、楽しく暮らしてください。もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、君も悪い人間だと思われるかもしれません。それで、ぼくは、旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。さようなら、体を大事にしてください。どこまでも君の友達、人間思いの猿。」

人間は、だまってそれを読みました。二度も三度も読みました。戸に手をかけて顔を押し付け、しくしくと、なみだを流して泣きました。

人間は、人間思いの猿を探しに、旅に出ることにしました。どれくらいたったことでしょう。砂漠にたどり着くと、そこに、朽ち果てた自由の女神がありました。

「地球だったのか!」

宇宙飛行士たちは、自分が不時着した場所が地球だったことを知り、ふたたび泣いてしまったのでした。

…ということで、すでにもう「泣いた○○」シリーズは飽きてしまいました(笑)。

こぶぎさんの「泣いた金魚屋の彼氏」の元ネタが、韓国映画「シュリ」であることは、みなさん、ご存じですよね。

投稿: onigawaragonzou | 2014年3月16日 (日) 19時45分

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