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最後の卒業祝賀会

3月25日(火)

ひどい二日酔いのまま、お昼過ぎ、卒業祝賀会場に向かう。

タクシーの中で、先日の「追いコン」で4年生のSさんとAさんからもらったネクタイを締める。

会場となるホテルに着くと、職員さんが、「先生、早く早く!」と手招きをしている。

うちの学科の集合写真を、今まさに撮ろうとしているところだった。

私が走って会場に駆け込むと、並んでいる学生たちから笑いが起きた。

ギリギリ、集合写真撮影に間に合った。

撮影が終わり、祝賀会がはじまる。

Sさんが、「最優秀学生」として、表彰された。私はまるで保護者か!というくらいに、前に出て、表彰の瞬間を写真に収めた。

Sさんが学部でいちばん優秀な学生であることに、議論の余地はない。それに関しては自信がある。Sさんのことをずっと見てきた私が言うのだから、間違いない。

祝賀会場は、円卓が並んでいて、とくに席が決まっているわけではない。自由席である。

隣に座ったのは、Oさんのご両親だった。

Oさんのご両親と、吹奏楽の話題で話が弾む。お二人は、大学時代に吹奏楽団で知り合い、それからずっと今まで、吹奏楽を続けているのだという。

「今度、演奏会を聴きに来てください」

「これをご縁に、今後もよろしくお願い申し上げます」

続いて、S君が来た。S君は、私の指導学生ではないが、私を慕ってくれていた。

「先生、専門分野が違う僕にも、いつも気にかけていただいて、ありがとうございました」

「あなたと、T君と、M君、いつも一緒にいたよね」

私は、この3人の「男子学生ぶり」が、かなり好きだった。

「3人のめげないところが好きだったんだ。これからもそのめげないところが武器になると思うよ」

「ありがとうございます」S君は、涙ぐんでいた。

続いて、T君が来た。

T君は、4月から国際交流にかかわる仕事に携わることになったという。中国に留学した経験が生かされるのだ。

「先生、ブログ辞めちゃうんですか?」

「まだわからないよ」

「もし続けてくれたら、俺、これからも読み続けて、それを力に、仕事がんばります」

T君は、私の韓国留学体験を読んだことで、中国に留学するふんぎりがついたと、以前、言ってくれたことがある。それは何よりも嬉しい言葉だった。

3人目のM君が来た。

「先生、ありがとうございました」

「あれ?」M君は、もう一年在籍するはずだが、なぜかここに来ていた。

だが、誰よりも卒業祝賀会を楽しんでいた。

学生とのやりとりを書くときりがない。

最後まで仕事部屋の引っ越しを黙々と手伝ってくれたA君。

学年のとりまとめ役をしてくれたSさん。

一昨年、学園祭でバンドを組んで一緒に演奏してくれたAさん。

姉妹ともにここで勉強したNさん。

ボランティア作業に献身的に活動してくれたTさん。

地元に就職が決まったWさん。

居酒屋の主人から謎の調査依頼を持ってきたKさん。

台湾に留学していたSさん。

ラトビアに留学していたNさん。

教師を目指すSさん。

…まだまだほかにもいる。

「先生、途中で失礼します」と、先ほど最優秀学生に表彰されたSさん。

「よく頑張ったね」

「ありがとうございます」

「弟さんに会いたかったよ」

Sさんがよく話す弟の話を、私はいつも、面白がって聞いていた。

「また遊びに行きます」

Sさんは一足早く、会場をあとにした。

OさんとFさんが来た。

「先生に出会わなければ、大学を辞めていたかも知れません」

2人が口を揃えて言った。少々大げさな話かもしれない。だが私は、学生たちがこの4年間、どれほどいろいろな思いを抱えてきたか、それを、おそらく他の同僚の誰よりも、見つめてきたつもりである。

たぶんそれは、「ほかの人にはわからない」だろう。

Oさんは、辞めるどころか、私の影響を受けて、韓国に留学までしたのである。

学生をふつうに送り出すことが、これほど嬉しく、誇らしく、尊いことであるとは。

最後の卒業祝賀会で、はじめて実感したことである。

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