かなりうかつ
4月19日(土)
今日から2日間、長い会議である。
土日もヘチマもない職場であると悟る。
以前、就活をしている学生から、
「こんど、就活の関係で、先生が学生時代に過ごした町のあたりに行くんですが、どこかお昼を食べるのにオススメのお店はありませんか」
と聞かれたことがあった。
私が学生時代に過ごした町、といっても、もう20年以上も前の話だし、あれからお店も変わっていることだろう。
私は、学生時代に研究室の仲間とよく通っていた洋食屋を紹介した。それなりに、思い入れのある店である。
数日後。
「オススメのお店に行ってきました」とその学生。
まだ、そのお店は潰れずに残っていたのか。
「どうだった?」
と聞くと、
「いまいちでした」
との返事だった。
いや、「いまいち」と、はっきり言ったのかどうかは覚えていない。たぶん学生の表情から、私がそう読み取っただけだったかも知れない。
自分が美味しいと思っている店が、他人にとってはそうでもない、ということは、よくあることで、さほど驚くべきことではない。
とくに、学生時代に出会った味、というのは、そういうものである。
育った地域とか、そのときの自分の年齢とか、そのときの心理とか、それを食べた状況とか、時代状況とか、そういったものが、味覚を大きく左右すると思われるのである。
音楽や映画や小説、などもそうである。
いくら自分がよかれと思って薦めたとしても、何歳の時に、どういう状況で、どういう思いで、音楽や映画や小説に接したのか、が、大きく左右しているのであり、それは、異なる環境で過ごしたほかの人が簡単に共有できるものでもないのだろう。薦められた方も、反応に困ってしまうだろうし。
だから、人はうかつに、自分の好みを薦めるものではないのかもしれない。
そう考えると、私はかなりうかつである。
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