八角形の館
4月1日(火)
2008年11月30日、韓国に留学した初日の日記に、私は次のように書いた。
「むかし、手塚治虫先生の『ザ・クレーター』という短編マンガ集の中に、漫画家だった男が、まったく別の人生を生きたいと思い、それまでの人生を捨ててプロボクサーとして生きるという話があったことを、なぜか思い出した。これからの1年3カ月の世界は、これまでの世界とは、まったく別の世界のように思える」
今日もまた、同じ心境である。
さて、この短編漫画の内容を、もう少し詳しく思い出してみよう。
主人公の漫画家の男は、漫画家の人生に失望し、ある古びた八角形の館に行った。その八角形の館は、別の人生を歩むことのできる場所だった。彼は気がつくと、プロボクサーになっていた。
だがこの八角形の館の掟は、「2度目の後悔は許されない」というものであった。つまり、「新しい人生に後悔した瞬間、とんでもないことが起こる」というのである。
決して後悔なんかするもんか、と、彼はプロボクサーになるのだが、初試合でこてんぱんに負けてしまった彼は、リングに倒れ、朦朧とした意識の中で、プロボクサーに失望し、「やはり漫画家になればよかった」と、後悔するのである。
その瞬間…。
その漫画は、とんでもない結末を迎えて、終わる。
たしかそんな内容だったと思う。
1日にして、まったく新しい世界に飛び込む。
一生に何度か、それも、この日がそれにあたることが、多いのではないだろうか。
では、この日にちなんだ曲を1曲。
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