続・嵐のようなあいつ
5月4日(日)
出身高校のOB吹奏楽団の、年に一度の定期演奏会を聴きに行く。
15年ほど前までは、演奏者として出演していたが、いまはもっぱら観客として聴くだけである。
演奏会が終わり、客席でうだうだしていると、5学年下のIさんがやってきた。
「先日の新聞記事、読みましたよ」
先日の新聞記事とは、私の本の紹介記事である。
「それで、OB楽団のサイトの掲示板に、宣伝したんですよ」
なんとありがたいことに、もう何年も演奏会に出演していない私の本を、Iさんは宣伝してくれたのである。
「でも、宣伝効果があったかどうか…」
すると今度は、私と同学年だったKさんがやってきた。Kさんは、今回の演奏会に出演していた。
「本、読んだよ」
「え?」私は驚いた。私がKさんに会うのは1年ぶりである。「何で知ったの?」
「OB楽団の掲示板にIさんが書いてくれたのを見て」
なんと!Iさんの宣伝のおかげで、少なくとも1冊は売れたのだ!
「どうだった?」と恐る恐る聞くと、
「ふだんのしゃべり口調が、そのままあらわれている感じだった」
と言われた。高校時代をよく知るKさんらしい感想である。
…というか、高校時代から、私の語り口は変わっていないらしい。
ほかに、同じサックスパートだった1学年後輩の、モリカワさん、エーシマ、オオキの3人も来ていた。
なかでも、北関東に住むエーシマが来るとは思わなかったので、ビックリした。
モリカワさんは、本の紹介記事が載った新聞記事を持ってきて、みんなに見せていた。
それを読んだエーシマとオオキが、大爆笑した。
高校時代の私をよく知る2人は、すました顔で写っている私の顔写真が、可笑しくて仕方がないらしい。
ホールを出て、居酒屋に場所を移す。
久しぶりに会ったエーシマは、例によってまくし立てるように喋っていた。
私も負けじと、それに応戦する。
「先輩、その面倒くさい性格、高校時代からまったく変わってませんよね。ほんと、まったく進歩がない」
エーシマは、いまも私が「面倒くさい性格」であることを、ちゃんと見抜いていた。ひどく呆れながらも、変わらないことに、安心したのだろう。
今日の演奏会で演奏された「レ・ミゼラブル」メドレーの話から、映画「レ・ミゼラブル」の話になり、「エポニーヌはいい」という話で盛り上がると、横で聞いていたAさんに、
「その話、去年もしていましたよ」
と指摘された。同じ話を繰り返すのは、老化のあらわれだな。
久々に、みんなで言いたいことを言い合った2時間だった。エーシマは、そのまま北関東に帰った。
その日の深夜、エーシマからメールが来た。
「宇都宮隆のドラマ初出演の『LUCKY! 天使、都へ行く』ですが、内容は全く覚えていませんが、たしかに、どっかの企業の社長役で出ていて、出るたびに下手くそ過ぎてハラハラしていたのを思い出しました。篠ひろ子さんと出ていたのはどうやら二作目で『誘惑』というまさに金妻の枠のドラマでした。ファンの私が忘れていることまで覚えている先輩の記憶力には脱帽です。
先輩の本はGW中にでも本屋さんで購入します。
では、新しい職場での仕事は大変かと思いますが、お疲れの出ませんように…(この言葉はGW中に新たに学んだ言い回しだったのでちょっと使ってみました)」
嵐のようなエーシマは、むかしと変わらない。
ほんの少し変わったことがあるとすれば、私に少しは気遣ってくれるようになった、ということである。
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コメント
本当に登場させていただき、ありがとうございました。
5学年下??もっと離れていなかったかしら?と思って調べましたが、正しかったです(ToT)
まだまだ先輩方に比べて、未熟です…。
先日は、とても楽しかったです。またお会いできることを楽しみにしております。
取り急ぎ御礼まで。
投稿: OB 楽団のI | 2014年5月 5日 (月) 22時31分
こちらこそ、宣伝していただき、ありがとうございます。
私こそ、未熟でダメな人間だということが、先日の0次会における、私の高校時代をよく知る後輩たちの証言で明らかになったと思います(笑)。
ちなみに0次会のあとの1次会では、まわりにとけ込めず、借りてきた猫のように静かにしていました。たぶん「演奏会の日」の私のピークは、毎年決まって0次会のときなのだと思います。
投稿: onigawaragonzou | 2014年5月 6日 (火) 03時14分