続々・嵐のようなあいつ
5月24日(土)
高校時代の部活の1年後輩であるエーシマから、携帯メールが来た。
北関東に住んでいるエーシマとは、めったに会うことはない。大学を卒業して社会に出てから、ずっと音信不通だったが、ここ数年は、2~3年に一度、高校のOBの集まりで、顔を合わす程度である。
つい先日、大型連休中の5月4日のOB楽団演奏会で会ったばかりだった。そのとき、3月末に私が出した本を連休中に買ってくれるというので、「じゃあ、読み終わったら感想を送ってよ」と言ったのだった。
それからしばらくメールが来なかったので、やっぱり社交辞令だったのかな、と思っていたら、今日、本の感想を書いたメールが届いたのである。
以下、引用する。
「GWに購入して読み始めて約3週間…無事読み切りましたよ。
週末に時間を作ってコツコツ読みました。おっしゃる通りその道に通じていなければかなり難しい本でした。一般書でなくこれは専門書ですね。
(中略)
とにかくこの本は難解過ぎて何処かに興味を持てる要素がなければ読み切る事は至難の業でしょう。素人が手を出すには危険です(笑)
なお、仙台、東京とTMNetworkの30周年ツアーへの旅には先輩の本を旅のお供として連れて行きましたよ。
頭を使って本を読むというのもたまには良いですが、流石に頭が疲れたので今はサクッと読める小説で頭休めしてます。
長文となりましたが本の感想です。
ではまたの機会に…」
私は驚いた。何と、3週間かけて読んでくれたというのである。
「難しかった」という感想が、全体を貫いているが、理科系の大学を卒業して、いまは外資系のメーカーに勤めているエーシマにとって、それは無理もないことである。それでも、辛抱強く3週間も、この本につきあってくれたのである。
「中略」部分には、具体的な本の感想が書かれているのだが、率直に、それでいて、かなり表現に気を使った書き方をしていて、これも嬉しかった。ちゃんと読んでくれた証拠である。
エーシマはふだん、歯に衣着せぬ物言いで、マシンガンのように喋るヤツなのだが、実は非常に気遣いのある人間であることを、私は知っている。
考えてもみたまえ。自分にとって全く畑違いの本を、週末を利用したり旅先に常に携行したりしながら、苦労して3週間もかけて読破し、その感想をわざわざ書いてくれたのである。
本にとって、これほど幸せな読まれ方があるだろうか。どんなに親しい友人でも、ここまでして読んでくれる人は、そうはいないだろう。
ひょっとして、最後の最後に信頼できる友人というのは、エーシマみたいなヤツをいうのかも知れないな。
…ちょっと買いかぶりすぎか?
私は返信に書いた。
「こんど一般書を書くときは、『エーシマならどう読んでくれるか?』をいつも念頭に置きながら、書くことにするよ」と。
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コメント
このような先輩方が同じ部活の先輩であることを誇りに思います。
自分もへたれていないで、頑張らないと…!
投稿: OB 楽団のI | 2014年5月26日 (月) 22時24分
そんな誇らしい先輩じゃありませんよ(笑)。毎日へこたれてばかりいるし、ダメだなあ俺はと、自己嫌悪に陥ってばかりいます。
へたれながら、それでも頑張ろうと思うことが、尊いことだと思います。
投稿: onigawaragonzou | 2014年5月26日 (月) 23時14分