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心残り

おかしい。

5月に入って、お酒を全然飲んでいないし、健康に気をつけているにもかかわらず、また足が痛くなった。

一体どうなってるんだ?

ということで、また憂鬱モードである。

憂鬱ついでに、思い出したことがあった。

よく喋るシェフの店」のことである。

美味しい店だったので、頻繁に通いたかったのだが、狭い店なので、同僚たちと鉢合わせるのが、少し気まずく感じて、なるべく鉢合わせしないように、時間をずらしたりして行ったりした。

そのことを、何気なくシェフに話したところ、シェフは気を使ってくれたらしく、ある日、お店に入ろうとして入口の扉を開けようとすると、店の中からシェフが出てきて、

「今日はやめといた方がいいです」

という。中に同僚たちがいるから、ということらしい。

「別にいいんですよ」と私が言うと、

「いやいや、私からは、適当に言っておきますから」

と言って、追い返されてしまった。

別にそこまで気にしていないのだがな、と思いつつも、シェフの気遣いに感謝した。

ところがあるとき、シェフがふと、

「そんなにかたくなにならなくても…同じ職場なんだから、一緒に食べればいいじゃないですか」

と私に言った。

どうも私が、意固地になっていると思っているらしい。実際そう見えたのだろう。

それ以来、シェフは私にあまり話しかけなくなった。

私のことを、自分の殻に閉じこもる偏屈な奴、と思ったのだろう。

ひょっとしたら、私の偏屈さが、常連の人たちにも伝わっているのかもしれないな。

そう思ったら、何となく行きにくくなってしまい、それからというもの、ランチを食べに行くことのないまま、引っ越してしまった。

それが少し、心残りである。

ま、些細なことである。

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