へそ曲がりと好奇心
7月12日(土)
「眼福の先生」ことT先生の傘寿をお祝いする会に参加する。
洋風居酒屋を貸し切って、25名ほどの立食パーティーである。
私は数年前に「入門」したので、学生時代から先生の薫陶を受けている方々とは、ほとんど面識がない。
全員が、先生に対してスピーチをすることになったのだが、学生時代から先生の薫陶を受けている方々は、口をそろえて、「怖い先生だった」と述懐する。
たしかに、専門分野に関してはとても厳しい先生だが、私がふだん調査をご一緒しているときは、先生を「怖い」と思った印象はない。
学生時代にご指導を受けていたとしたら、たぶん怖い先生だったのだろう。
T先生が私のところに近づいてきて、おっしゃった。
「あなたと初めてお会いしたのは、いつだったっけ?」
「2011年です」
私の職場にお招きして、調査をお願いしたのである。
「私はもう隠居しようと思っていたのに、あの時、あなたに引っ張り出されてから、再び火がついて、それからというもの、あちこちへと調査に出かけることになった。でもそのおかげで、今もこうして健康でいられます」
たしかにそうだった。あの時がきっかけで、今に至るまで、先生は精力的に全国を駆けまわっている。
研究仲間のAさんが、先生に対するスピーチで、「T先生はへそ曲がりと好奇心のかたまりだ」と言っていたが、「へそ曲がりと好奇心」こそが、傘寿を迎えたT先生を、なお突き動かしてやまないのだ。
「年をとる、というのはいいものですよ」
参加者の前で、T先生がご挨拶されたときにおっしゃった言葉である。
「みなさんも、安心して年をとりなさい」
そのためには、いつまでも「健康」と、そして「へそ曲がりと好奇心」を維持していかなければならない。
先生のように。
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