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もう一人のヒョン

7月10日(木)

もう一人、私にとってひそかに「ヒョン」(韓国語で「兄貴」という意)と呼べるような人がいて、その人は私より5歳くらい上なのだが、西のほうに住んでいて、お会いするのは、1年に1度くらいである。

(繰り返すが、「ヒョン」と呼ぶのは、実際のところ、かなり照れくさいのだが、ここではそう呼ぶことにする)

長年机を並べて勉強した、というわけでもなければ、長年同じ職場で同僚だった、というわけでもない。

本当に、1年に1度、それも業界の会合でお会いするくらいなのである。しかし会うと、まるで旧知の間柄のごとく、じつにいろいろな話をするのだ。

そして、いつも私のことを気にかけていただいている。

今日、その「ヒョン」から、ふだんはめったに来ることのないショートメールが来た。

「再来週の週末に、仕事でそちらの職場に行くんだが、会えますか?」

所用で私の職場に来ることになったそうなのだが、あいにく、再来週の週末は出張の予定が入っていた。

「残念です。再来週の週末はS県の学会で研究発表です。いつか時間を見つけて、必ず遊びに行きます」

職場が変わったら、少しは近くなりますから、そちらに遊びに行きますよ、と、数か月前から約束していたのだが、いざ入社してみたら、あまりに出張が多いので、なかなか実現しない。それが私にとっても歯がゆかった。

ヒョンから短い返事が来た。

「是非、そうして…。待ってます」

待ち焦がれているかのような返信に、私は恐縮し、感謝した。

これほど強く、私に会うことを楽しみにしてくれる人は、そうはいない。

今度こそ、不義理を重ねないようにしよう。

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