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ロードムービーにはほど遠い

8月11日(月)

友人から、

「出張が多いみたいなので、疾走感あるロードムービー的なブログをお願いします」

と要望をもらった。たしかに私もロードムービーが大好きなのだが、現実はそうなかなかうまくいかない。

先週、東北の中核都市にお勤めのある方から、調査の依頼があった。

めったにお会いすることのないお方で、私が職場を移ったこともご報告していなかったこともあり、大変申し訳ないことに、ほうぼう手を尽くして私の連絡先を突き止めていただいたらしい。

以前からお世話になっている方で、私よりはるか年上の大ベテランの方だが、私のことを信頼していただいていて、調査の依頼をいただいたのである。

笑われると思うが、私は自分の仕事の中で、「探偵調査」に比している仕事、というのがあって、今回の依頼がまさに、自分が「探偵調査」に比している仕事だったのである。

これは引き受けないわけにはいかない。

だが、日程的にはかなり厳しい。

「申し訳ありません。8月は11日くらいしか空いていません」

「わかりました。ではそれでお願いします」

ということで、急遽、またひとつ、出張が増えることになった。

おりしもお盆休みの帰省ラッシュの時期である。

新幹線の席が取れるか心配だったが、さいわい、臨時の新幹線の席が空いていた。

二人がけの席の窓側に座ると、発車ギリギリに乗り込んだ巨漢の男性が、私の隣の席に座った。

私よりも、かなりデブなオッサンである。

なんたって、座席からはみ出るくらいの横幅の人なんだから。

とたんに座席が窮屈になった。

(何でよりによって、デブ二人が隣り合わせに座らなければならないんだ?)

新幹線が出発した。

不思議なことに、私の周りの座席は、ガラガラである。

通路をはさんだ、3人掛けの座席の列なんて、誰ひとり座っていないのだ。

周りはあんなに席が空いているのに、何でよりによってデブ二人が隣どうしなのか?

JRの予約システムで「デブは隣同士に座らせる」とプログラムされているのか?

隣のデブは、座るなり、グーグー寝てしまった。

肘と、大股開きの足がこちらの席をがっちりと封じていて、これでもう私は、身動きがとれない。

これはもはや「ロードムービー」ではない。「コメディ映画」である。

結局、終点まで、デブ二人が窮屈な2人掛けの席に座っていた。

(酷い目にあったもんだ)

駅に着いた。依頼主の方とは、駅で待ち合わせである。

いつも依頼調査の前は、緊張する。

はたして、依頼人を満足させる結果を導き出せるのか?

こればかりは、蓋を開けてみなければわからない。

調査場所に行き、依頼人3人が見守る前で調査を始めて、なんとか、結果を出すことができた。

「ありがとうございます」

「いえ、こちらこそ呼んでいただいてありがとうございました。今回の調査結果は、近いうちに必ずレポートにまとめてお送りします」

これでまた仕事が増えたが、こればかりは仕方がない。

「ありがとうございます。もう一つお願いがあるのですが」

「何でしょうか?」

「今回の調査などもふまえまして、11月に講演会を…」

「はあ」

これでまた仕事が増えた。スケジュールがどんどん埋まってゆく。

だが、今日の仕事は、私がお世話になっている方からの依頼ということもあって、何としても全うしなければならない。

こうやって、自分の首が絞まっていくのである。

ひととおり仕事が終わり、あらためてこれまでの自分を振り返ってみた。

今回の調査の件は別として、私は、自分が振り回されるタイプだ、と思ってきた。

だが、違うのではないか。

自分で自分を振り回しているのではないか。

自分で自分を巻き込んでいるのではないか。

勝手に自分で自分を振り回して、結果的にはぶざまな形で終わるのである。

行った先の人たちは、みないい人ばかりであるが、旅をする私自身が、ぶざまなのである。

これでは、「疾走感あふれるロードムービー」なんぞ、無理である。

振り回されていると見えながら、結局は一人相撲の部分がかなり多い。

「まさか真に受けて本当に来るとはね」

「いいのいいの。どうせ好きで勝手にやってるんだから放っておけば。どうせこっちは、そこまで頼んでいないんだし」

「でも、あんまり好き勝手にやらせるとつけあがるから、注意してあげた方がいいんじゃない?」

「そうねえ。放っておくとつけあがるからねえ」

という声が、ほうぼうから聞こえてきそうである。

やはり、ロードムービーにはほど遠い。

何やってんだ?オレ。

…という、自己嫌悪が頭をもたげてきた夜でございました。

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コメント

「疾走感のあるロードムービー」で検索すると、例えばこれがそうらしい。

奥田民生「風は西から」
http://youtu.be/BUvW1R8seOI

どーです(TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」風に)。

自由を求める当てのない旅、出会い、成長、そしてちょっと切ないエンディング。

そして、これが肝心、そう、「酒」と「ロック」と「いい女」ですよ。

ん? このブログには、全くかすりもしない?

ま、酒の話はたくさん出てくるけど。

では、こちらはどうか。青春譚なら、このブログでも書かれているし。

映画「風が強く吹いている」
http://youtu.be/tEQryK-_JjY

無謀な挑戦、仲間、出会い、葛藤、そして「風を感じる」疾走感。

この「風を感じる」というのが、肝心なんですよ。

ん?、風を感じるどころか、完全に吹きだまっちゃっているって?

大体、飛行機に新幹線では高速移動すぎて、かえって風を感じないわけです(窓だってあかないし)。

マラソンとは言わなくても、バイクか車、せめて深夜バス。

でも、何もかも、かなぐり捨てて、あてのない旅に出るには、やはり青春期の思いきりと体力が必要なわけで、ぼ、ぼ、僕らは悲しき中年探偵団。

何か、おっさんが主人公で、酒とロックといい女とバスが出てくるような、そんな疾走感溢れるロードムービーってないかしら。

あった。

ローカル路線バスの旅
http://www.bs-j.co.jp/official/localbus/

どーです。

無謀な挑戦、仲間、出会い、葛藤、そしてバス路線が途切れた県境を歩いて越える時の「疾走感」。

太川陽介のビール一気飲み(酒)に、マドンナ(いい女)まである。

え? 「ロック」がないって?

そんなことはありません。

蛭子さんの生きざま自体が、ロックですから。

投稿: こぶぎ | 2014年8月12日 (火) 12時31分

やっぱり疾走感のあるロードムービーならば、車ですよね。

最近車を運転する機会がめっきり減って、電車にばかり乗っているから、ロードムービーにならないことに気づきました。

路線バスといえば、先週の出張先で、こんな路線バスがあることを発見。

http://www.narakotsu.co.jp/rosen/yagi-shingu/

時間があれば乗ってみたい気がしますが、そんな時間がとれるのか???

投稿: onigawaragonzou | 2014年8月12日 (火) 22時25分

深夜バスの乗車時間で言えば東京ー大阪くらいですので、相手取るにはまずまずの強さですかね。このバス路線は廃止話も出ているようですので、お早目にお乗り頂いた方がよいかと。

でも、毎日お忙しいご様子ですから、どうせ乗るならこちらをお勧めします。疾走感ありますよ(短いけど)。

“世界一短い”航空路線
http://www.narinari.com/Nd/20130120257.html

あとご存じでしょうけど、どうでしょう東北キャラバンをやってますので、忙中閑あり、こちらから雰囲気だけでも。
http://www.htb.co.jp/caravan/

投稿: こぶぎ | 2014年8月13日 (水) 09時07分

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