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風のかたみ

8月7日(木)

今回の出張は、今日と明日の2日間、朝から夕方までみっちりと仕事をする。

かなり気を使う仕事で疲れたので、簡単に書くにとどめる。

福永武彦の長編小説『風のかたみ』は、平安時代の都を舞台にした王朝小説、というべきもので、『今昔物語』をイメージした世界観が、小説全体をおおっている。

私はこの小説が大好きで、最近久しぶりに、読み返してみた。

やはりこの小説はすばらしい。

まず、登場人物のセリフがすべて気高くてすばらしい。惚れ惚れするような言葉にあふれている。

小説全体を貫く、「人の想いのすれ違い」は、まさに福永武彦の小説の根幹のテーマともいえるもので、それを説話的・寓話的に描くことで、さらにストレートに読者の心に訴えかけている。

まあ、この小説にハマるかハマらないかは、私にとってのリトマス試験紙だな。

実はこの小説は、20年ほど前に、高山由紀子監督により1度映画化されたことがある。

主人公の大伴次郎親信を坂上忍、小説の「狂言回し」的存在である陰陽師役を岩下志麻が演じていた。

当時私は劇場でこの映画を見たが、これがかなりの「珍作」だった。

そもそも、原作の小説では陰陽師が男性であり、それを岩下志麻が演じていることじたいが、かなり「アレ」な感じである。

たとえば、「かぐや姫の物語」を製作した高畑勲監督が、同じクオリティと世界観で「風のかたみ」を映画化したらどうだったろう、と夢想したりする。

ちなみに私のこのブログのタイトルの「風の…」は、「風のかたみ」からとっております。

それくらい、私はこの小説が大好きなのだ。

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