続・いまさらヨン様
8月22日(金)
韓国をひとり旅をしていた大学時代の後輩と、韓国の田舎町の駅で合流し、古いお寺の後ろにそびえている山に登る。
昨年に続き、後輩と韓国で合流するのは、2度目である。日本ではほぼ会わないのだが、旅先の韓国で会うのが、この時期の風物詩となりつつある。
この山登りが、思いのほか大変で、ヘトヘトになった。
山を下り、昼食をとったあと、すこし離れた、ある場所へ向かう。
隣接している施設に入ると、解説員をしている人が、日本人の女性だった。最初は、あまりにも韓国語が流暢なので、ネイティヴの方かと思った。
その方も、我々が日本人だと分かると、親切にもいろいろと施設内の説明をしてくれた。
しかし、こんな田舎町で、日本人が解説員の仕事をしているのは、じつに不思議な感じである。
私は聞いてみた。
「ここには、日本人はほとんど来ないのではないですか?」
「いいえ、けっこう来ますよ」
「それはどうしてです?」いくら歴史マニアといえど、わざわざこの地を訪ねる人はそうはおるまい。
「以前、ヨン様がここへやってきて、そのときの様子を、紀行文にまとめたことがあるんです。写真も撮ったりして。ほら、後ろにヨン様のサインが飾ってあるでしょう」
よくみると、受付の後ろの壁のところに、ヨン様のサインが書かれた写真が貼ってあった。
私は思い出した。以前買った、ペ・ヨンジュン著『韓国の美をたどる旅』の中に、たしかにこの地を訪れたことを書いた箇所があったのだ。
「その本を読んだヨン様ファンの方々が、わざわざここを訪れるんです」
私はびっくりした。
この場所じたいは、ヨン様とはなんの関係もない。ドラマのロケ地でもないのだ。
にもかかわらず、ヨン様がここに訪れた、というだけで、それを読んだヨン様ファンが、交通の不便な場所であることも顧みず、わざわざ「巡礼」に来るのだ。
試みに、ヨン様ファンらしき人のブログを探してみると、この『韓国の美をたどる旅』に触発されて、ヨン様がこの地の紀行文を書くために訪れた日と同じ4月9日にこの地を訪れ、ヨン様が立った場所と同じ場所に立った、という感慨を記したブログがあった。
ヨン様がそのときに感じた空気と同じ空気を感じたい、と思ったのだろう。
すげえな、ヨン様ファン。明らかにヨン様は、その人にとって生きるエネルギーになっているのだ。
だってヨン様が行かなければ、その場所のことなど興味を持たなかっただろうから。
そう考えると、ヨン様は、やはりすごい。
『韓国の美をたどる旅』は、誰もが知る名所ではなく、あまり人に顧みられず、それでいて美しい場所を選んでいる。
この場所は、まさにそれにふさわしい場所である。
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コメント
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投稿: ぺ・こぶぎ | 2014年8月23日 (土) 11時58分
ヨン様ファンです
この記事を私のブログに載せていただいていいでしょうか?
ここでは、場所を特定されていませんが、
銀海寺、百興庵でよろしいですか。
投稿: haru | 2014年8月25日 (月) 16時21分
転載していただいてもかまいませんよ。
この記事に書いた場所の答えは、銀海寺ではありません。ペ・こぶぎさんがコメント欄に書いたコメントを縦読みすると、正解が出てきます。
ただし、「ヨン様のサインが書かれた写真」が受付に貼ってあったのは、こぶぎさんが解答した場所ではなく、同じ町にある、そこから少し離れた、五層石塔(国宝)がある場所の展示館です。『韓国の美をたどる旅』の原書(翻訳本ではありません)の、247頁の写真が、まさにその場所です。
どうにもわかりにくくて申し訳ありませんが、場所をはっきり書かないことをこのブログのポリシーにしているので、どうか以上のヒントで、場所を特定してください。
銀海寺も一度行ったことがありますが、とてもいいところですね。
投稿: onigawaragonzou | 2014年8月25日 (月) 23時55分
onigawaragonzou様、ご丁寧に分かりやすく説明していただきまして、ありがとうございます。1ページ前の皇龍寺跡は行きました。
原書も持っていますが、今のところ飾っておくだけになっています。
面白い記事が詰まっているので、度々寄らしていただきますね。
投稿: haru | 2014年8月26日 (火) 10時26分
皇龍寺址は、本の表紙にもなっていますね。
記事に書いた場所も、とてもいい雰囲気の場所なので、もしまだでしたら、ぜひ訪ねてみてください。
またお立ち寄りください。
投稿: onigawaragonzou | 2014年8月27日 (水) 00時21分