鍵はどこへ消えた?
8月4日(月)
今の職場が前の職場と最も違うところは、「仕事部屋の鍵の管理の方法」である。
前の職場の場合、自分の仕事部屋の鍵は、自分が常に持っていることになっていた。
だが、今の職場は違う。
建物の玄関には、24時間体制で守衛さんがいて、通勤したときは、その警備員さんに、自分の仕事部屋の鍵をもらって、自分の仕事部屋を開けるのだ。
で、仕事が終わり、帰るときに、仕事部屋の鍵を閉めて、鍵を建物の入口の守衛さんに戻す。
つまり、自分の仕事部屋の鍵は、自分で持っていてはいけない。職場を出るときは、守衛さんに預けなければならないのである。
今の職場に着任して2カ月くらいたつと、すべての守衛さんが、私の顔と名前を覚えてくれて、私が職場の入口に入ると、何も言わずとも、仕事部屋の鍵を渡してくれるようになった。
さて、今日。
午前に定例の仕事があり、午後にまるまる会議があった。会議のあとは、すぐに懇親会である。
今日の懇親会場は、バスを仕立てていくほど、遠い場所にある。
夕方5時30分に、玄関前に集合、ということだった。
会議が終わり、急いで自分の仕事部屋に戻り、あとかたづけをして、懇親会に向かうバスに乗らなければならない。
ところが、ここで困ったことが起きた。
自分の仕事部屋の鍵が見当たらないのである。
理由は、仕事部屋があまりに散らかっていて、鍵をどこに置いたのかわからなくなったためである。
…と、ここまで書いて、賢明な読者諸賢はすでにおわかりのように、私は新しい職場に着任して、わずか4カ月で、すでに仕事部屋が散らかって、どうにもならなくなっているのである!
(おかしいなあ、鍵、どこにやったんだろう)
汗だくで、仕事部屋の中を探すが、鍵が出てこない。
ドアをノックする音がした。
「あのう…そろそろ準備をお願いします。懇親会場に行くバスが来ていますので」
「わかりました」
だが、いくら探しても鍵が出てこない。
「はやくしてください」
「わかりました」
大急ぎで部屋を出て、建物の入り口の守衛さんにやむを得ず言った。
「あのう、仕事部屋の鍵がみつからなくって…。これからすぐに出なければならないので、申し訳ありませんが、スペアキーで鍵をかけていただけますか?」
守衛さんが不思議そうな顔で答えた。
「それは別にかまいませんが、…ひどい汗をかいていらっしゃいますが、大丈夫ですか」
守衛さんは、私の顔を見て、川に落ちたかのような汗をかいていることに、不審を抱いたようだ。
鍵を必死に探したのと、それが見つからなかったことで、私は通常の大汗に加え、冷や汗をかいていたのである。
「大丈夫です」
と言ってはみたものの、どう考えても、尋常な汗の量ではない。
なにしろ、屋根があるのに、大雨にうたれたような汗をかいているのである。
それにしても、自分の仕事部屋の鍵を、自分の仕事部屋の中で見つからないなんて、もはや「つける薬がない」くらい、最低である。
(ああ、いまここで死にたい)
と思いながら、バスに乗り込み、懇親会場に向かったのであった。
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コメント
仕事場の鍵以外に、今年からなくなったものがあるでしょ。
夏休みですよ、夏休み。
自分の夏休みじゃなくて、職場全体の。
いつもの賑わいが嘘のように、人気(ひとけ)もなくなって静かな感じ。夏休みの宿題ではないが、レポートの採点を終えれば、会議もない1ヶ月。
もっとも、建物の工事もこの夏休みに行うので、窓の外には足場が組まれて、トビのお兄ちゃんが行き交っているから、落ち着かないことこの上ない。
さて、今朝も元気に出勤だ。
青空と入道雲の下を、自転車を漕いで山間(やまあい)のこの街を走っていると、隣町の図書館に通っていた高校生の夏がよみがえる。
夏休みだなあ。
職場に着いた。大して自転車に乗っていたわけでもないけど、すっかり汗だくだ。
ここは仕事部屋の鍵を閉めて、Tシャツを脱いで乾かしちゃおう。
(がちゃ)
どこぞの職場と違って、自分で部屋の鍵を持ってるからね。開け放題に閉め放題だね。
(ぶーん)
それにしても、扇風機で風を浴びるといいですなあ。
などと、半裸で闘牛士のようにTシャツを扇風機の風になびかせていると、
窓の外のヘルメットのお兄さんと、目が合った。
BGM
鈴木祥子「夏はどこへ行った」
http://www.youtube.com/watch?v=ISjfTuGTH-Q
投稿: 夏のこぶぎ | 2014年8月 5日 (火) 10時50分
仕事部屋の鍵は、翌朝、仕事部屋の机の上で見つかりました。
たしかに、期末試験の採点は、私にとっての夏休みの宿題だったなあ。あれが終わって、ようやく解放された気分になったものです。
夏休みの宿題は、どこへ行った?
投稿: onigawaragonzou | 2014年8月 5日 (火) 22時57分