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水谷豊にハズレなし

8月3日(日)

今日も一日安静にしていたので、とくに何も書くことがない。そこでテレビドラマの話を書くことにする。

私の考えた格言の1つに、「水谷豊にハズレなし」というのがある。

水谷豊の主演しているドラマに、ハズレはない、という意味である。

私が子どものころに見ていたのは、「熱中時代」「熱中時代刑事編」「事件記者チャボ」「気分は名探偵」「あんちゃん」「刑事貴族」など、いわゆる日本テレビで放映されていたドラマである。

これらはいずれも面白かった。

あと、TBSテレビで、山口百恵と三浦友和が主演した「赤いシリーズ」というのがあるが、この二人が主演をつとめない第5作目「赤い激流」では、水谷豊が主演をつとめていた。「赤いシリーズ」の中で、最も視聴率が高かったのは、山口・三浦コンビのドラマではなく、この水谷主演の「赤い激流」であったといわれる。

私自身も、当時最も印象に残ったのが、「赤い激流」だった。いまでも劇中に流れるショパンの「英雄ポロネーズ」の旋律が、頭の中に流れることがある。

それはともかく。

水谷主演のドラマの中でいちばん好きだったのは、日本テレビの土曜グランド劇場枠で放映されていた「あんちゃん」であった。

1982年放映のドラマだから、私が中2のときに、リアルタイムで見たドラマである。

このドラマは、「女子プロレスのマネージャー兼トレーナーの田野中一徹(水谷豊)が、父の急死をきっかけに郷里である宇佐木町に戻り、家業の住職を継ぎ一人前の住職として成長してゆく姿を描く」(うぃきべでぃあより引用)。

女子プロレスのマネージャーが、いきなり寺の住職になるという発想が、いかにも奇抜だが、当時、女子プロレスブームだったことが背景にあるのだろう。

私の記憶では、一話完結のヒューマンドラマで、日常に起こるさまざまな出来事を、主人公・田野中(水谷豊)の目を通しで描いていく、というものだった。ときに田野中は、身の回りで巻き起こる出来事に積極的にかかわっていき、微妙で複雑な人間関係を解きほぐしていったり、問題を解決していったりしながら、自らも成長していく、といった内容だったと記憶する。

どんな内容のエピソードがあったか、いまではまったく忘れてしまったのだが、私はこのドラマが大好きで、その「大好き」という感覚だけは、いまだに残っているのである。

いまから14年ほど前、私は縁のない土地で慣れない教員をすることになった。

教員と学生との距離、というのは、おそらく都会よりは近いものであったと思われる。学生たちは、日々、いろいろな悩みや相談を、もちかけてきた。

なかには、解決できるかどうかもわからない、難しい相談もあった。

だが、何らかの答えを出さなければならない。

答えを出さずとも、何らかの方向性を出さなければならない。

そのとき、決まって私の頭の中にあらわれたのが、水谷豊のドラマ「あんちゃん」であった。

ドラマの中で、「あんちゃん」こと田野中は、僧侶ということで、人々に頼られる。お坊さんならば、何か解決をしてくれるのではないか、と、人々がすがるように訪れるのである。

だが、田野中は、もとはといえば女子プロのマネージャー。僧侶としての経験を積んできたわけではなく、いわば新米なのである。

自分は僧侶とはいっても、人に頼られるにふさわしい人物ではない。

だが、困っている人をなんとかしてあげたい。

そこで彼は、一緒に思い悩みながら、なんとか解決の方向を見つけていこうとする。

そしてその経験を重ねながら、自分自身も成長していく。

子どものころに見た、「あんちゃん」を、私はいつしか自分の生き方と重ね合わせていたのである。

ひょっとして、いま、このドラマを見たら、私の記憶は間違っていて、自分が思っていたドラマとはまったく内容の違うものかも知れない。

私が「あんちゃん」に対して思い描いていたイメージは、私自身が、あとになって、勝手に作り上げたものかも知れない。

それにしても、である。

私が、あの町での14年間の教員生活で、心の支えになっていたのは、ぼんやりとした記憶の中にあるドラマ「あんちゃん」だったのだ。

その事実だけは、変わらないのだ。

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コメント

はじめまして。

「赤いシリーズ」の中で、

平均視聴率1位は『赤い絆』
山口百恵主演(三浦友和の出演は無し)

最高視聴率が『赤い激流』の最終回です。
宇津井健主演

投稿: さいたま | 2014年8月 7日 (木) 10時53分

ありがとうございます。正しくは「最高視聴率をとったのは『赤い激流』の最終回だった」でしたね。

投稿: onigawaragonzou | 2014年8月 7日 (木) 23時43分

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