ソウルの平日
9月22日(月)
待機3日目。
午前、東大門駅からひと駅の、テハンノ(大学路)に行ってみることにする。
いわゆる学生街だが、行ってみても、たいしたことはなかった。
そういえば土曜日に仁川空港に行ったときに、月曜の11時過ぎに飛行機の便の変更の電話をかけるようにと、航空会社に言われていたのだった。
11時過ぎに、教えられた電話番号に電話をかけてみた。
26日午後の便に空きがあったようで、無事、変更することができた。
「あのう…、Eチケットはどうしたらいいでしょうか?」
「当日、仁川空港に早めに来ていただいて、我が社の発券カウンターで出力したEチケットを受け取っていただければ大丈夫ですよ。そのEチケットをお持ちになって、○○○のカウンターに行ってください」
○○○とは、コードシェアをしている航空会社のことである。
本当に便の変更ができたのか、例によって、私の不安神経症が頭をもたげてきた。
「あのう…、いまからそちらにうかがってよろしいでしょうか?」
「は?」
「そちら、ソウル市内にある支社ですよね」
「そうです」
「そちらで、Eチケットを発行してもらうこともできるでしょうか?」
「もちろんできますよ。でも、当日空港でお受け取りになっても、同じことですよ」
「ええ、それはわかっています。ちょっと不安になったもので」
「当日空港で受け取ったほうが楽だと思いますけど…。ま、こちらとしては、どちらでもかまいませんので、お客様のお好きなようになさってください」少し呆れ気味である。
「ちなみに、そちらの場所は、どこですか?」
「ロッテホテルの隣です」
「じゃあ近くなので、取りに行きます」本当はそれほど近くではないのだが。
「わかりました」
まったく、私の不安神経症にも、困ったものである。
地下鉄を乗り継いで、ロッテホテルの隣のホテルに向かった。
そこで、無事にEチケットを受け取ったのであった。
そうこうしているうちに、お昼である。
ロッテホテルの近く、つまりソウル市庁の近くは、ビジネス街である。ちょうどお昼休みの時間に重なり、通りはスーツ姿のサラリーマンたちでごった返していた。
今日は月曜日なのだ。
(さて、どこでお昼を食べようか…)
近くに南大門市場があることを思い出し、ガイドブックに載っていた、「鶏肉のコムタン」を食べることにした。地元の人しか行かない、かなりマニアックなお店らしい。
南大門市場の路地裏を探し回り、ようやく「鶏肉のコムタン」の店を見つけた。
お店はたくさんの客で賑わっているが、そのすべてが、「背広姿のサラリーマン」とは真逆な感じの、おじさんたちである。おじさんと行っても、還暦を過ぎた感じのおじさんたちばかりである。
さすがにこの店には、外国人観光客も、若い男女もいない。
無造作にちぎられた鶏肉が鍋で煮込まれ、鍋のまま出される。
これぞ、正真正銘の「ザ・B級グルメ」である。
午後、妻に頼まれた、ある私設の博物館を探してみることにする。
その私設博物館にある「あるもの」が、今どうなっているのかを調べてほしい、と、妻からメールが来た。インターネットで検索してみても、博物館の場所はわかるのだが、ふだん開いているのかどうか、そしてその「あるもの」が展示されているかどうか、皆目わからないというのである。
私にとっても、まったくなじみのない博物館である。
その私設博物館は、徳寿宮の北にある、というので、歩いて探してみることにした。
だが、いくら探しても、その博物館は見つからない。
(おかしいなあ。たしかにこのあたりなんだがなあ)
道行く人に聞いてみても、「知らない」というばかりである。
それらしいビルに入り、ビルの管理人さんらしき人に聞くことにした。
「あのう、このあたりに、○○博物館というのはありませんか?」
「なくなりましたよ」
「え?なくなった?」
「たしかにこの建物がそうだったんですがね。昨年、博物館の館長さんが亡くなって、博物館は閉館したんです。この建物も、リフォームしました」
1階は、オシャレなイタリアンレストランになっていた。
「そうなんですか…じゃあ、展示していたものというのは…?」
「さあ、わかりませんがね。館長の家族がひきとったんでしょう」
個人の私設博物館だったようだが、館長が収集したものは、どうなってしまったのだろう?
昨日、東大門歴史文化公園の「DDP(東大門デザインプラザ)」で見た、澗松(カンサン)収集の国宝級の美術品とは対照的に、実に寂しい末路をたどったように思える。
その後は、近くの喫茶店に入り、原稿の構想を練る。
明日からは、また緊張と忍耐の仕事が始まる。しくじらないように頑張ろう。
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