« 喋りたおす、最終日 ~歌の贈り物~ | トップページ | 3つの恐怖 »

神々の乱心

夏休みとか、5月の大型連休とか、長期の休みには、長編小説を読みたい気分になるが、この8月の夏季休暇では、松本清張の遺作『神々の乱心』を再読した。

ずいぶん前に読んだのだが、すっかり内容は忘れてしまったので、読み返すことにしたのである。

この小説の連載が終わらないうちに、松本清張が他界してしまったので、この小説は、未完のままである。

あらためて読み返してみたが、この小説は、松本清張のそれまでのエッセンスが、すべてつまっていると言ってよい。

昭和初期の日本と満州を舞台にしていることもあって、、『昭和史発掘』執筆時の膨大な調査成果が遺憾なく小説の中に反映されていることはいうまでもない。

そればかりではなく、松本清張の考古学に関する該博な知識も、随所にちりばめられている。

北関東で起こった小さな「殺人事件」が、「新興宗教」「宮中」「アヘン」「満州」といったキーワードと結びつき、背後にある壮大で深い「闇」を描き出す。

とにかく、これは松本清張にしか書けない小説であり、松本清張ファンであれば、彼の文筆遍歴を思い返しながら読むことができるので、より楽しめる。

そういう意味でこの小説の楽しみ方は、松本清張ファンにこそ与えられた特権ともいえよう。

惜しむらくは、この小説の結末を、永遠に知ることができなくなった、ということ。

この未完の小説の結末を書き継ぐ人は、あらわれるだろうか?

|

« 喋りたおす、最終日 ~歌の贈り物~ | トップページ | 3つの恐怖 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 喋りたおす、最終日 ~歌の贈り物~ | トップページ | 3つの恐怖 »