北へ
10月1日(水)
気がついたらもう10月。
3週間ぶりに、職場に出勤する。
といっても、夕方からまた、北のほうへ出張なのだ。
矢継ぎ早に仕事がふってくる。
「忙しいのは重々承知なのだが…」と、上司から、また新しい仕事を言い渡された。
もうこうなったら、「矢でも鉄砲でも持ってこい」といった心境である。
久しぶりに事務室に顔を出したら、いろいろな人に「出張お疲れさまでした。大変だったでしょう。お身体は大丈夫ですか」といわれた。
小さい職場なので、私が3週間、大移動の出張をしていることを、みんな知っているのだ。
そういってくれる人たちがいるだけで、がんばろう、と思えるから不思議である。
とくに応援してくれているのは、事務補佐員の方々である。
私はまだこの職場に来て間もないし、どんな人間かもわからないはずなのに、気にかけてくれるというのはありがたいことである。
事務補佐員の方が仕事部屋にやってきた。
「今日このあと、北のほうへ出張なんですよね」
「ええ」
「これ、もらい物の梨なんですけど、出張の前にこれを食べて元気をつけてください」
ほんの少しだったが、梨をいただいた。
「ありがとうございます」
ありがたくって、涙が出るね。応援してくれる人がいる、というのは嬉しいものである。
夕方、職場を出て、5時間以上かかって、北の町に到着した。
明日の仕事を終えれば、ひとまず、この長い旅が終わるのだ。
もうひとふんばり、がんばろう。
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