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会いに行く旅・その1

11月22日(土)

ギャラリートーク・2回目。

相変わらず愚鈍な解説をしてしまい、反省すること頻りである。

ギャラリートークに合わせて、「前の勤務地」から、何人もの人が来てくれた。

前の勤務地の同僚たちに加え、「前の職場」の卒業生たちと、「前の前の職場」の卒業生たち、総勢9人である。

いずれも、忙しい合間をぬって来てくれたのである。

久しぶりに、いろいろな話をした。

「前の職場」の卒業生たちはいずれも、震災のあった3月に卒業した人たちである。

一緒にお昼を食べながら話をする。先日「前の職場」で開かれたという「3年ぶりの卒業式」の話題になった。

「先生、私もあの卒業式に参加したんですよ」とSさん。

「え?でも色紙は送られてこなかったよ」

「3年ぶりの卒業式」に参加する卒業生たちに限って、指導教員が色紙を書いて渡す、みたいなことが行われたのである。

あるとき、一方的に「前の職場」から色紙が郵送されてきて、「卒業生のA君にメッセージを書いてすぐに送り返してください」という、ずいぶん乱暴なやり方だなあと憤った、と前に書いた。

「私とY子ちゃんは、少し遅れて参加申し込みをしたんです。てっきり、あとで色紙を送ってくれるはずだと思っていたんです」

「そうだったの?」

そのことを確認しなかった私の怠慢だった。

「それに先生、誤解ですよ」

「何が?」

「A君の申し込みが遅れたから、先生のところにギリギリに色紙が送られてきたって、ブログに書いていたじゃないですか」

「うん」

「調べてみたら、A君、ちゃんと期日までに参加申し込みをしていたんですよ!」

「そうだったの?」

「だからA君が悪いんじゃありません」

それはA君に申し訳ないことをした。Sさんの色紙がいまだ届かないことも含め、すべては私が状況を把握していなかったことが原因である。

しかも私は彼への色紙に、いきなり色紙が送られてきたことに対する愚痴を書いてしまったのだが、それも彼にとってひどいことをしてしまったと反省した。

「私も色紙、もらいたかったです。どうして全員にくれなかったんでしょうねえ」

「卒業式」に参加できなかったKさんが言った。

いつか、あらためてみんなに色紙を贈らなければならない。いちど贈ったA君にもあらためて、である。

夜、こんどは前の勤務地の同僚たちや、「前の前の職場」の卒業生2人と一緒に、お酒を飲みながらお話をした。

2人は、いまから12年ほど前の卒業生で、たしか8年ほど前に、もう1人の同僚と4人で、いちど都内で一緒に飲んだことがある。いまでも忘れずに、こうして訪ねてきてくれたのは、とてもうれしかった。

Nさんが言った。

「先生にお会いしたら、これだけは言っておかなくちゃって思っていたことがあるんです」

「え?何?」

「8年前に一緒に飲んだとき、先生が『こわい話』をしたこと、覚えてますか?」

私はまったく覚えていない。

「あの話が、すごくこわくて、それからというもの私は、あの話をずっと背負い続けながら生きてきたんです」

私は何となく思い出した。私がよくする「こわい話」というのは1つしかないので、たぶん「あの話」をしたんだろう、と思う。

「そんなにこわかったの?」

「そりゃあこわかったですよ。もうこわくてこわくて…でもあるとき、インターネットで何気なく調べていたら、先生が話した話とまったく同じ話を、タレントがしているのを見つけてしまったんです!」

そりゃそうだ。だって「あの話」は、そのタレントが作った「こわい話」をそのまま拝借しただけだもの。

「先生!ひどいです!私はてっきり、先生が実体験した話だと思って、その話を聞いたあとも、、ずーっとブルブル震えていたんですよ。不動産屋さんに行って部屋を借りるときも、その物件にあたったらどうしようかと、もうこわくてこわくて…」

「あれ、全部作り話だよ」

「そうだったんですか!ひどいです!ずーっとあの『こわい話』に苦しめられてきたんですよ!」

たしかに申し訳ないことをした。

私はある時期、話術を磨くために、学生たちとの飲み会とか実習旅行などの時に、その「こわい話」を披露していた。私にとって「こわい話」とは、「話術を磨く」ための手段にすぎなかったのである。

学生たちからしたら迷惑な話である。うかつに「こわい話」はするものではない、と反省した。

Nさんは言った。

「先生に連れていってもらった実習旅行、本当に楽しかったです。またみんなで行ってみたいです」

「またみんなで行きたいねえ」

そのとき、ふと考えが浮かんだ。

何年かしたら、また実習旅行を計画してみようかな、と。

そのとき、14年間にわたって私がかかわってきたすべての卒業生たちに、

「もう一度、学生時代の実習旅行をなぞってみませんか?」

と、案内状を出す。

そうしたら、いったい何人の人が来てくれるだろうか、と。

他愛もない夢だが、いつか実現したいと、ちょっと本気で思う。

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