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妄想のフランク・ダラボン

とにかくむちゃくちゃ忙しい!

私以上に忙しい同僚と話をしていたら、

「もう、殺せ!っていう感じです」

「そうですよね。『矢でも鉄砲でも持ってこい』といった心境ですよね」

と、意見が一致した。

そんなわけで、ここ最近は、しみじみとした文章が書けない。

せっかくこぶぎさんが力作のコメントを書いてくれたが、気のきいたコメント返しをすることもできない。

ということで、

フュージョンの話。

か、

フランク・ダラボン監督の話。

のどちらかを書こうと思ったが、今回は後者の方を書くことにする。

少し前、妻がレンタルビデオ屋からスティーブン・キング原作、フランク・ダラボン監督の映画「ミスト」(2007年)を借りてきたので、見ることにした。

映画じたいの出来は、すごくよかったのだが、なんとも後味の悪いというか、救いのない映画であった。

で、調べてみると、この映画は、スティーブン・キングが原作で、フランク・ダラボンという人が監督である。

この二人の組み合わせは、映画「ショーシャンクの空に」(1994年)と、映画「グリーンマイル」(1999年)もそうである。

「ショーシャンクの空に」は、いわずと知れた感動の名作で、私の大好きなアメリカ映画の1つである。

「ミスト」はホラー映画なので、「ショーシャンクの空に」的な感動の要素はいっさいなく、ひたすら「エグイ」映画である。

では、その2つの映画の間に作られた、「グリーンマイル」はどうか?

劇場公開当時、「ショーシャンクの空に」に続く感動作という触れ込みだったと記憶している。

だが妻によれば、「グリーンマイル」は、感動作というよりも、エグイ映画だ、という。

たしかにそうだ。感動的な部分もあるのだが、映像表現じたいは、かなり「エグイ」場面が出てくる。

「フランク・ダラボン監督は、本当は感動的な映画よりもエグイ映画が撮りたいのではないか?」

というのが妻の仮説である。

ここで、3作を時系列的にまとめてみると、

「ショーシャンクの空に」(1994年)…感動作。

「グリーンマイル」(1999年) …感動作だが、少しエグイ。

「ミスト」(2007年) …かなりエグイ。

という変化をたどっている。

フランク・ダラボン監督が本当に撮りたかったのは、「ミスト」みたいなエグイ映画だったのではないか?

そしてここからは私の仮説。

フランク・ダラボン監督は、本当は「ミスト」みたいなエグイ映画を撮るのが目標だった。

だが、最初からいきなりエグイ映画を作ってしまっては、人々に受け入れられなくなるかも知れない。

そこでまず、「ショーシャンクの空に」みたいな、誰もが受け入れやすい映画を作って、多くの人から高い評価を得る。

次に、前作の感動的なイメージを残しながらも、少しエグイ映画を撮って、その片鱗を見せる。

それが「グリーンマイル」である。

そしてこの2作で、「スティーブン・キング原作の映画といえば、フランク・ダラボン監督」という印象を多くの人に植え付けたところで、いよいよ自分が本当に作りたい作品「ミスト」に取り組む。

もしいきなり自分の作りたい映画を作ろうとしたら、ネームバリューもないので、予算も時間も十分にかけられず、満足のいく映画が撮れなかったかも知れない。

かくしてフランク・ダラボン監督は、10年以上かけて、自分が本当に撮りたい映画を作ったのではないだろうか?

…もちろんこれは、すべて私の妄想である。

フランク・ダラボン監督が、どんな人柄で、どんな映画の影響を受け、どんなことを考えているかなどは、まるで知らない。

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