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中耳炎騒動

11月9日(日)

またまた旅の空です。

1週間ほど前から、右耳がおかしい。なんとなく違和感があるのである。

痛いわけでもないし、聞こえないわけでもない。たとえていえば、飛行機に乗ったときに耳に抱く違和感に近いのだが、体を動かすたびに「ゴソゴソ、ゴソゴソ」と、右耳の中で異音がするのである。

昨晩、妻の実家で夕食をとっていたときに、みんなにそのことを話すと、義妹が言った。

「それ、中耳炎ですよ」

「中耳炎?」

「気圧が変わると、耳が変な感じになるでしょう?」

「うん」

「ひどく疲れているときなんかに、気圧の変化を受けたりすると、中耳炎になったりするんです。前に私、それで中耳炎になりました」

義妹によると、ひどく疲れていたときに、気圧の低い高原に行ったら、中耳炎になってしまったというのである。

この義妹の説は、かなり説得力がある。

まず私は、ここ最近とても忙しく、疲れはてていた。

それに加え、ここ最近は飛行機に乗る機会が多い。先日などは、1週間のうちに2度も飛行機で福岡を往復したほどである。

疲れていることに加え、飛行機に乗って気圧の変化で耳がおかしくなり、中耳炎を引き起こしたのではないだろうか!

私は急に不安になった。

「…で、でも…、しばらくしたら自然治癒するでしょう?」

「ダメですよ。放っておいたら大変なことになりますよ。お医者さんに行かないと」

私はさらに不安になった。なにしろ私は、月曜日から1週間、出張なのである。

「とてもじゃないが、病院に行く暇なんかないよ」

「でも行かないと大変なことになりますよ。出張の合間に行くことはできないんですか?」

「できないよ。朝から夕方までずっと拘束されるからね」

「じゃあ明日(日曜日)に行けばいいじゃないですか」

月曜日は朝から出張先で仕事なので、日曜日のうちに出張先に移動しなければならなかった。日曜日は少し早めに家を出て出張先で別の用事を済ませようと思っていたのだが、背に腹は代えられない。予定を変更して出張先には夜に着けばいいことにして、まずは耳鼻科に行くことにした。

さて今日。

インターネットで調べてみると、家からバスで20分ほどのところに、日曜日も診療をしている耳鼻科を見つけたので、朝9時すぎに行くことにした。

診察時間は10時からだというのに、すでにビックリするくらいたくさんの人が待合室にいた。

この病院は、小児科、内科、耳鼻科、皮膚科を兼ねているので、とくに子どもが多いのである。

日曜日に診療している病院がほかにほとんどないのだから、仕方がないのだろう。

しかし、耳鼻科ならばそんなに患者は多くないだろうから、すぐにすむだろう。

念のため受付で聞いてみた。

「あのう…耳鼻科なんですけど、だいぶ時間はかかるでしょうか」

「そうですねえ。この人数ですからねえ」

「え?ここにいるみなさん、耳鼻科にかかっているんですか?」

「いえ、小児科も内科も耳鼻科皮膚科も、一人の先生が担当しているもので…」

なんと!この病院は、医者の先生一人で切り盛りしているのか!

あきらめて待つことにした。

待つこと2時間。ようやく診察室に入ることができた。

バーコード頭の、恰幅のいい先生である。

「どうしました?」

「あのう…1週間ほど前から、右耳に違和感を感じまして。ひょっとして何か重篤な病気ではないかと…」

ここで「中耳炎」という病名を出すと、「素人がわからないくせに病名を特定するな」と言われそうなので、言わなかった。

「ではちょっと右耳を拝見」

先生は私の右耳をのぞき見ながら言った。

「耳垢がだいぶたまってますねえ。…原因は耳垢です」

「み、耳垢???」

「左耳も見てみましょう。…左耳は何もないなあ。やっぱり右耳の違和感の原因は耳垢です」

そう言うと先生は、細長いホースのようなもので、右耳の耳垢を吸い出した。

「ちょっと我慢してくださいよ」

「イタイイタイ!」

「ほらとれました」

「先生、いま右耳が急に痛くなったんですけど、まさか重篤な病気じゃ…」

「それは、耳垢を取るホースが耳にあたったからでしょう」

念のため、のどと鼻と鼓膜を検査したが、何の異常もない。

「炎症も起きてないようですし、これで大丈夫だと思いますよ」

「薬は?」

「必要ありません」

結局、耳垢をとるだけで治療は終了した。

受付で会計を済ませる。

「2500円です」

に、に、2500円???!!!

耳垢を取っただけなのに???!!!

どんなプレイなんだ???

だが悔しいことに、耳垢を取ったおかげで、たしかに右耳の違和感がなくなったのである。

かくして、義妹によって不安を煽られた「中耳炎騒動」は決着した。

だがこれで一安心というわけではない。

なぜ左耳は耳垢がまったくなかったのに対して、右耳だけにビックリするくらいの量の耳垢がたまっていたのか?

それこそ、何か重篤な病気の前兆なのではないだろうか?

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