演劇がよくて、ロックはダメなのか?
教師時代の夢の一つが、「音楽サークルの顧問になりたい」だった。
最後の2年間、ふとしたことがきっかけで、音楽サークルの顧問になった。
おまけに、これまた念願かなって、学園祭でライブまですることができた。
その音楽サークルは、主にロックバンドの活動サークルで、私自身、ロックを聴く人間ではないのだが、「青春デンデケデケデケ」の寺内先生のような顧問に憧れていたので、私には願ったり叶ったりの顧問就任だったのである。
そういえば私の高校時代にも、ロックバンドの部があり、クラスの友人の何人かが、バンド活動をしていた。
しかしどういうわけか、部の名称が「民族音楽愛好会」というものだった。
実際にはハードロックのバンドばかりが集まっているのに、「民族音楽愛好会」とは、不思議な名称だなと思っていたが、いま思うに、「ロック愛好会」では、不謹慎だと考えられていたのだろうか。「ロック」はダメだが、「民族音楽」ならばよい、という妙な理屈で、その名前がついたのかも知れない。
顧問は、私のクラスの担任のKeiさんだった。
Keiさんも、ロックとは無縁の人だったが、おそらく、高校ではあまりオモテだってはよいとされないロックバンドに、理解を示していたのだろう。私もKeiさんのそんな考え方に、影響を受けたのかも知れない。
当時はそれくらい、高校でロックバンドを組むということが、高校生にとっては後ろめたく、不謹慎なものと考えられていたのである。
もっとも、いまはそんなことはないのかもしれないが。
しかし、いまだに大人たちには、ロックを格下に見る傾向にある。
たとえば、演劇とくらべてみるがよい。
演劇は、大学をあげて支援する。しかし、ロックバンドは、むしろ近隣に迷惑をかける「騒音」を出す存在として、これを煙たく思う。
演劇の公演をする、となると、大学をあげて宣伝するが、ロックバンドのライブは、そうではない。
同じ学生がしていることなのに、この扱いの違いは、何なのだろう?
演劇をしている学生の方が偉いのか?
ロックバンドをしている学生はダメなのか?
私は演劇を見るのが好きだし、ロックをあまり聴かない人間なのだが、このことだけは、いまだに腑に落ちない。
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