ごとこん
1月5日(月)
今年の仕事始めは、またまた旅の空です。
朝9時、トラックに乗って職場を出発する。
2人の「トラック野郎」が代わる代わる運転しながら、6時間かけて移動する。
移動の車中、とりたててすることもない。
「トラック野郎」の1人、Sさんといろいろな話をする。
「この前、初めて空港の貨物ターミナルに行ったんですけど」と私。
「初めてだったんですか」
「ええ。そこで、荷物の積み降ろしを見ていて…。あれって、何ていうんですか?前の部分に二つの刃がついていて、荷物を上げたり下ろしたりするヤツ」
「ああ、フォークリフトですね」
「そう、そのフォークリフト。あれを手際よく操作している姿を見たら、とてもかっこいいというか、面白いというか、時間を忘れて作業を見入ってしまいましたよ」
「そうですか。うちの社にも、フォークリフト専門の人間がいますよ」
「あれって、免許が必要なんですか?」
「いえ、免許は必要ありませんが、資格が必要です。いちおうこういう仕事をしていると、たいていはフォークリフトの資格を持っています」
「そうですか」
「でも、常にフォークリフトに乗って操作している人間は、やはり技術が断然違いますね」
「そうでしょうね。見ていてすがすがしいですもん」
「たしか、コンテストもあったはずですよ」
「フォークリフトの?」
「ええ」
「それって、一般人も見学できるものなんですか?」
…と自分で質問していて、もう1人の自分が私にささやいた。
(おいおい、まさかお前、フォークリフトのコンテスト、見に行くんじゃないだろうな!)
「たぶん、一般の人も見ることができると思いますけど…。乗り物とか、お好きなんですか?」
どうやら「はたらくくるま」マニアだと思われたらしい。
「いえ、そういうわけでは…。この仕事を始めてから、何となく興味を持ったもので…」
とごまかした。
話題を変えた。
「昨年、職場と自宅を引っ越ししたときに、トラックではなく、貨車で荷物を運んだんですよ」と私。
「貨車ですか」
「ええ。5トンのコンテナ3台で運んだんです」
「ゴトコン3台ですか」
ゴトコン?聞いたことがないぞ。
…そうか!「5トンのコンテナ」のことか!
それを業界用語で「ゴトコン」というんだな。
「ええ、ゴトコンです」と私は繰り返した。
「ゴトコンで運ぶと、意外と安いと聞きましたけど」とSさん。
「そうそう、その通りです。それ以来、私もゴトコンに注目するようになりましてね。ゴトコンを積んだトラックなんか見かけると、つい目で追ってしまったり、あと、鉄道の貨物ターミナルでゴトコンを探してしまったり」
私もすっかり「ゴトコン」という言葉を使ってしまっていた。単に「ゴトコン」って言いたいだけなんじゃないか?
「やはり乗り物に関心がおありなんでしょう?」とSさん。
「い、いえ、そういうわけでは…。ときに、そういう情報が書かれた業界誌なんてものがあるんですか?」
(お前、そんなことを知ってどうするんだ!)
と、ふたたびもう1人の自分の声が脳内に鳴り響いた。
「業界誌ですか…。さあ、見たことがないですねえ。そういう情報は、口コミで入ってきたりしますから」
「そうですか」私は一つ思い出した。「以前、何かで見たんですが、『荷主と輸送』という雑誌があるそうなんですけど、ご存じですか?」
「『荷主と輸送』ですか?まさか、定期的に出ている雑誌じゃないでしょう?」
「いえ、たしか月刊だったと聞いています」
「月刊ですか?!」Sさんは驚いた様子だった。「よくネタが続くなあ。そんな雑誌が出ているなんて知りませんでした」
その雑誌は、業界人の間ですら、かなりマニアックな雑誌らしい。いったいどういう人が読んでるんだ?
また、もう1人の自分がささやく。
(まさかお前、その雑誌を探してきて読もうと思ってるんじゃないだろうな。お前には関係ないことなんだから、これ以上ヘンな関心を広げることだけはやめとけよ)
(わかってるよ!)と、私はもう1人の自分に対して答えた。
ただ、フォークリフトのコンテストは、一度くらい見てみたいものである。
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コメント
全国フォークリフト運転競技大会
http://www.rikusai.or.jp/public/katsudo/forktaikai/fork.htm
第26回フォークリフト運転競技茨城県大会1
http://youtu.be/uyPTHHLN9hI
投稿: 物流こぶぎ | 2015年1月 6日 (火) 10時06分
大会の写真を見る限り、ギャラリーはけっこういるようですね。
あと、競技会の映像を見ましたが、私が現場で見たフォークリフトさばきの方がもっと鮮やかな感じがしました。競技会と現場の実践とでは迫力が違うのかもしれません。
投稿: onigawaragonzou | 2015年1月 6日 (火) 22時09分