準工業地域
1月19日(月)
久しぶりに、通勤のために最寄りの駅まで自転車に乗ったら、危うくトラックにひかれそうになった。
まあそんなことはともかく。
午前中、職場で仕事をして、午後、業務命令で都内のある町に行く。
ほんと、よく働くなあ。
何度でも書くが、この世で最も尊い仕事は、「目立たない仕事」ですからね。「目立つ仕事」はあとに残らないが、「目立たない仕事」は、後々まで残るのだ。
そこのところを間違えないように。
…と自分に言い聞かせる。
職場から、電車を乗り継いで2時間近くの場所。
新宿駅で都営大江戸線に乗り換え、降りたこともない駅に降り立つ。初めておとずれる町である。
町の名前の印象から、やきとり屋が多いイメージがあるが、それはむかし、そんな名前の映画があったせいだろう。よくある住宅街といった感じである。
事前に、
「駅から徒歩6~7分、実物大の電車が目印で、その向かいが工房です」
とだけ言われ、それだけをたよりに町を歩く。するとほどなくして、実物大の電車が見えてきた。
その向かいにある小さな建物が、工房である。
そこでひととおり仕事を終えたあと、聞いてみた。
「ここは本社とはずいぶん離れていますね」
「本社には営業担当の者がいるだけで、実際の作業はこの工房でやっています」
「なぜですか?」
「ここは準工業地域なんですよ。だからこの町に工房を置いているのです」
「準工業地域?」
恥ずかしながら、初めて聞いた言葉である。住宅街の中に、環境悪化のおそれのないような工場を置くことが許されている地域のことをさすらしい。
「向かいの立派な建物の前に、実物大の電車が置いていたでしょう?」
「ええ、よく交通公園にあるような」
「あの建物は、日本でも有名な鉄道模型の会社なんですよ」
「え?そうなんですか?」
会社の名前を聞いたが、私は初めて聞いた会社名だった。
「知らないんですか?鉄道模型の分野では誰でも知っている有名な会社ですよ」
「そうなんですか」
またしても、私の無知がさらけ出された。
「もともとは小さな工場だったのですが、最近建物をリニューアルして、敷地も広げて、立派な建物になりました。1回には鉄道模型も売っていますから、帰りがけにぜひ入ってみたらいかがです?」
「はあ」
工房を出た目の前が、その鉄道模型の会社の新築ビルである。
帰りがけにそのビルの中に入ってみると、1階の広々としたフロアには鉄道模型が展示・販売されていた。
マニアにはたまらないのだろうが、私は鉄道にさほど興味がないので、「ふーん」という感じで、特に感慨もなく出てきてしまった。
なるほど、ここは準工場地域だから、鉄道模型の工場もここに置かれたということなのだな。
だからどうだというわけではないのだが、なぜこんな住宅街の中に日本でも有数の鉄道模型の工場があるのか、その謎が解けたことの方が、むしろ私には鉄道模型そのものよりも重要であった。
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コメント
ご無沙汰しております。
準工、ご存じなかったとは?!
私が高校時代住んでいた場所は準工でした(^_^;)
先輩と同じ自治体の西のはずれの方ですが
(笑)
投稿: 後輩のI | 2015年2月11日 (水) 18時11分
そうか!うちの実家のまわりも準工だったのですね。
というか、準工って、かなりメジャーな用語だったんですね。
投稿: onigawaragonzou | 2015年2月11日 (水) 22時18分