3年越しの唐津の寿司屋
1月17日(土)
最近思うところがあって、「いつ死ぬかわからないから、会えるときにできるだけ友人に会っておこう」と考えるようになった。
福岡に住む高校時代の友人、コバヤシに、「いつか、唐津を案内してやる。唐津で、俺が行きつけの寿司屋に連れてってやる」と言われたのが、2011年の8月末のこと。コバヤシは唐津焼に目覚め、月に1度の割合で唐津に通い、必ず立ち寄る寿司屋があるという。
「行きたいねえ」と言ってみたものの、実際に唐津に行く機会なんてそうそうないだろうから、無理だろうな、と思っていた。
しかし、不思議なこともあるものである。
職場の業務命令による出張で、昨年10月と、今週の2回、唐津に訪れることになった。しかも今回は、週末にかかる出張である。
3年半前の約束が、ようやく実現できそうである。
コバヤシに連絡をとると、さっそく、寿司屋を予約してくれた。
今日のお昼、唐津で合流し、コバヤシが月に1度通っているという寿司屋に向かった。
唐津駅から徒歩2,3分という場所で、カウンターしかないお店。観光客というより、地元の人たちが通う店である。予約をしないと、席がとれない。
ま、これだけの情報では、お店の名前はわからないだろうな。ましてやお店の名前も、「○○寿司」といったようなベタな名前ではないから、どんな安楽椅子探偵でも、特定は難しいだろう。
昼間っからビールと日本酒を飲み、真珠貝の貝柱、カナギ、ブリの内臓、刺身の盛り合わせ、蒸した牡蠣など、次々と出てくるつまみに舌鼓を打つ。
最後に寿司を食べて、大満足である。
かくして、3年半越しの約束が実現したのであった。「いつか実現させましょう」というのは、よくある社交辞令だが、それを実現させるか否かは、お互いがそれをどのていど本気で考えているかどうかにかかっている。お互いの強い意志がないと、実現はしないのだ。
さて、寿司を食いながらいろんな話をしたと思うが、料理が美味すぎて何を話したかは忘れてしまった。
唯一覚えているのは、彼がよくいう話なのだが、
「高校1年の時にラーメン屋さんに行ったとき、お前ともう1人のヤツが、『店員がラーメンどんぶりに指を入れて持ってくる』ことについて真剣に議論しているのを見て、『こういうくだらないことを真剣に議論しているようなヤツとは一生友達になれない』と思った。」
ということである。私はぜんぜん覚えていないのだが。
つまり第一印象は、最悪だったらしい。
第一印象が最悪だったもの同士が、30年間も友人でいられるとは、どういうことなのか。
友人とは、砂金のようなものかもしれない。
川砂を、時間をかけてふるいにかけて、ふつうの砂とは比重の異なる砂金だけをとりだす。
そうして残った砂金が、友人なのである。
だから人生でどんなに数多くの人に出会っても、生涯の友人と呼べる人は、それほど多くはないのだ。
砂金なのか、砂なのか。
それは、時間をかければかけるほど、ふるい分けられていくものだと思う。
何年もたって、あらためて気づくこともあるのだ。
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コメント
Avez-vous le guide Michelin?
Et vous cherchez ☆☆.
投稿: Détective Koburo Akechi | 2015年1月18日 (日) 20時40分
Ce n'est pas une réponse correcte.
投稿: onigawaragonzou | 2015年1月18日 (日) 23時35分
小林君 先生。犯人からフランス語で返事があったのに、なぜコメントしないんですか?
明智こぶ郎 忙しくってそれどこじゃないのだよ、小林君。今日だって、ある先生の最終講義を聞いていたら「ビザンチン将軍問題」というフレーズに心鷲づかみされて、もお新しいコントの妄想が頭の中を占めてタマランチ会長。
その上、バイト代の経理書類作成にメール書き、Windows10プレビュー版のインストール作業から、赤い電車が本社前にある鉄道模型会社探しまで、年度末は探偵だって忙しいんだ。
小林君 お忙しいのは分かりますが、明智こぶ郎たるもの、犯人の挑戦に答えられないなんて悔しいじゃありませんか。売られた挑戦には、名推理で勝利しないと。勝ちにいきましょうよ、先生。
明智 ああ、勝とう。勝とうじゃないか。
小林君 しかし唐津駅から徒歩2、3分で「すし屋らしくない店名」のすし屋なんて2つしかないから、安楽椅子探偵でなくても、電話帳さえ見れば誰にでも分かることなのに。
明智 むしろ、「ミシュランつながり」でコメントをフランス語に翻訳する手間の方がよほどかかった。
小林君 一方の店には奥に座敷がありますから、カウンター席だけなのは一つだけ。それに3年ぶりの約束で旧友を招くのだから、ミシュランを選ぶのが「お・も・て・な・し」でしょう。
明智 最初は僕もそう思ったのだが、でも違うようだ。
小林君 「カウンター席しかない」こと自体が間違っていたというのですか。酔っているのに、模擬裁判のやり取りをメモも取らずに再現できるほど、犯人の記憶力はズバ抜けているのですよ。
明智 誰にも過ちはあるものだ。小林君は両方のすし店の写真を見たかね?
小林君 ええ、食べログの料理写真から両店のメニューを比較しましたが、犯人が書いたメニュー通りでないので、推理には使えませんでした。
明智 料理だけ見ていたら分からない。でも写真を見れば、福岡のコバヤシさんがなぜ、この店を選んだのかは分かる。それだけでなく彼が自家用車でなくて、電車かバスで来ていることも、何度もここに通わなくてはいけない理由もだ。
小林君 なぜ分かるんですか? 大将がいい人で、料金も比較的庶民的だからですか?
明智君 よく考えて見給え。さて、よい子の読者の諸君はもう分かったかな?
小林君 ところで先生。
明智 何だね?
小林君 「ビザンチン将軍問題」って、誰もが知っているくらい有名な話なんですか?
投稿: Détective Koburo Akechi | 2015年1月21日 (水) 15時37分
日和警部 どうもわからんのう、金田一さん。
金田一耕助 何がですか?日和さん。
日和 結局、明智こぶ郎探偵は、寿司屋をつきとめたんだろうか。
金田一 私もうかつでしたよ。「カウンターしかないお店」とうっかり書いてしまいましたが、奥に座敷もあったことに気づきませんでした。
日和 そういえばあのとき、福岡のコバヤシ君が「唐津くんちの時は、常連が奥の座敷に通される」みたいなことを言っていたから、座敷はあったんじゃな。
金田一 ということで正解は、「唐津駅から最も近いお寿司屋さん」でした。
日和 こぶ郎探偵の候補にあがった二つの店の大将が、実は兄弟だということを、こぶ郎探偵は知っていたじゃろうか。
金田一 その調べもとっくについていたでしょうね。
日和 しかしじゃな、金田一さん。もう一方の「準工業地域」の町当てクイズの方は、さすがのこぶ郎探偵もお手上げかな?
金田一 そんなことありませんよ、日和さん。もう答えは出ていますよ。
日和 はて?
金田一 こぶ郎探偵は上のコメントで「赤い電車が本社前にある鉄道模型会社」と言っているでしょう?
日和 そうじゃな。それがどうした?
金田一 僕は「実物大の電車」としか言ってないんですよ。
日和 そうか!たしかにあの実物大の電車は、赤い色をしていたぞ!こぶ郎探偵は、とっくにこの町のことを特定していたんだ!
金田一 その通りですよ、日和さん。でも、まだ僕にはすっきしりないことがあるんです。
日和 なんじゃな?
金田一 唐津の寿司屋の話にもどるんですが、「写真を見れば、福岡のコバヤシさんがなぜ、この店を選んだのかは分かる。それだけでなく彼が自家用車でなくて、電車かバスで来ていることも、何度もここに通わなくてはいけない理由もだ」というこぶ郎探偵の言葉が、私にはよくわからなくてねえ。
日和 わしにもよくわからんが…ひょっとすると、大将の後ろに置いてあるものを見ろということじゃなかろうか。
投稿: onigawaragonzou | 2015年1月21日 (水) 23時52分