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他人の星

ウルトラセブンのシリーズの中で、大人になってからそのよさがわかったエピソードが、市川森一脚本の「盗まれたウルトラアイ」である。

怪獣のぬいぐるみを作る予算がなくなったために、市川森一が怪獣の出てこないエピソードを書き上げた、という話は有名である。したがってこの回では、ウルトラセブンが怪獣と戦う場面がない。

子どもからしたら、なんとも物足りない感じがするが、それでもこのエピソードを、シリーズ中のベストにあげる人は多い。私もその一人である。

マゼラン星から地球に派遣されたマヤは、ウルトラセブンの変身を阻止するために、モロボシ・ダンの持つ「ウルトラアイ」を盗む、という任務を遂行する。

任務を遂行したマヤは、マゼラン星からの迎えを待つが、マゼラン星からはいっこうにマヤを迎えにくる気配はない。

それどころか、マゼラン星は地球に向かって弾道ミサイルを撃ち、マヤもろとも、地球を爆破しようとしたのである。

地球防衛軍は、その事実を通信傍受によって知る。

「裏切られたんだよ、自分の星に」モロボシ・ダンはつぶやく。

そのことを、ダンはマヤに伝える。

マヤ「この星の命も午前0時で終わりです」

ダン「君も死ぬのか」

マヤ「私は仲間が迎えに来てくれるわ」

ダン「誰も来ない、君は初めから見捨てられてたんだ」

マゼラン星からの通信を傍受したメッセージを見せられたマヤは、愕然とする。

ダン「この星で生きよう。この星と一緒に」

だが自分の星に裏切られたことを知ったマヤは、自殺してしまうのである。

何とも救いのない話であるが、いまなぜこの話を私が思い出したのか、その寓意はおわかりだろう。

ダンとマヤとの、次の会話もまた、印象に残っている。

ダン「ウルトラアイをなぜ取った」

マヤ「それがあたしの任務だから」

ダン「地球を侵略するつもりなのか」

マヤ「こんな狂った星を? 見て御覧なさいこんな狂った星、侵略する価値があると思って?」

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