サクサク地獄
1月29日(木)
日帰り出張。
新幹線とバスを乗り継いで、片道5時間以上の旅である。震災の影響で、今もバスによる代行輸送が続いているのだ。
新幹線を降りて駅を出て、バスに乗り換える。ちょうどお昼頃出発のバスなので、お客さんもまばらである。2列並んだ座席を独り占めできるくらいすいていた。
バスが出発した。車内は静かである。
ほどなくして、
サクサクサクサクサク
という音が聞こえてきた。
誰か、かっぱえびせんを食べているな。かっぱえびせんを食べている音に違いない。
ふと横を見ると、通路をはさんだ斜め前の席で、これから帰省する大学生、といった感じの女の子が、かっぱえびせんの袋を手に持っていた。お昼ご飯代わりに、かっぱえびせんを食べているのだろうか。
サクサクサクサクサク
サクサクサクサクサク
食べている本人にとっては、誰に気兼ねすることもなく、かっぱえびせん一袋を独り占めしてモリモリ食べるというのは、至福の時なのであろう。
だが、私からすれば、その音が気になって仕方がない。
見るとはなしに見ると、その人は、袋からかっぱえびせんを2,3本ずつ、指でつまんで取り出して、それを無造作に口の中に放り込んで、
サクサクサクサクサク
と、いい音を立てて食べている。
しかし、この
サクサクサクサクサク
という音を聞いていると、むしょうに腹が立って仕方がない。
わかるかなあ、この感覚。
かっぱえびせんは、自分が食べているときは気にならないが、他人が食べているときの
サクサクサクサクサク
という音は、なぜか腹が立って仕方がないのである。
かっぺえびせんを食べるときの、
サクサクサクサクサク
という音は、どうもバカにされているように聞こえてしまうのだ。
静かな車内に、
サクサクサクサクサク
という音が鳴り響く。
2,3本をいっぺんに指でつまんで袋から取り出して、無造作に口の中に放り込んでは、
サクサクサクサクサク
この繰り返しである。
静かな車内でその音を繰り返し聞いていると、だんだん自分がバカにされているような気になってきた。
わかるかなあ、この感覚。
試しにいっぺん、近くにいる人に、
「すみません。かっぱえびせんを食べてみてください」 とお願いして、
サクサクサクサクサク
という音を聞いてみるとよい。
なぜかむしょうに腹が立ってくるはずである。
いったいこの
サクサクサクサクサク
はいつまで続くのだろう?と思って見ているが、いつまでたっても、袋の中のかっぱえびせんはなくなる様子がない。
2,3本を指でつまんで取り出しては、口の中に無造作に放り込んで、
サクサクサクサクサク
の繰り返しである。
かっぱえびせんの一袋って、相当な量があるのだな。
20分ほど、一定のペースで、
サクサクサクサクサク
が続く。いったい袋の中にはどんだけの量のかっぱえびせんが入ってるんだ?
20分たってようやく、袋に残ったかっぱえびせんの粉を、袋から直接口の中に放り込む仕草をして、食べ終わったようだった。
(やれやれ、拷問だったなあ…)
と思った矢先、こんどは、後ろの席で、お菓子の袋を空ける音がして、
サクサクサクサクサク
…もう勘弁してくれよ!
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コメント
おもしろすぎて頬張ったそばを吐き出してしまいました。
おもしろさが波のようにつぎつぎと押し寄せる
サクサク音はきっと高速なのですよね
おちがきれいすぎです
投稿: 小 | 2015年2月 6日 (金) 12時56分