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飛行機通勤

2月9日(月)

またまた旅の空です!

土曜日の夜遅くに韓国から成田空港経由で帰宅し、翌日曜日は、例によって体が鉛のように動かなくなってしまった。

で、月曜日の今日、職場で夕方まで仕事をして、夜7時半の成田発の飛行機で福岡に向かった。

明日(火曜日)、福岡で仕事をして、夜遅くに羽田空港経由で家に帰る。

その次の日の水曜日は、こんどは羽田空港から「ガードレールが黄色い県」に向かう。2泊3日で調査である。

つまり、今週は金曜日まで出張が続くのだ。

以上をまとめると、

4日(水)、家→成田空港→韓国

7日(土)、韓国→成田空港→家。

9日(月)、家→職場→成田空港→福岡

10(火)、福岡→羽田空港→家

11日(水)、家→羽田空港→「ガードレールが黄色い県」

13日(金)、「ガードレールが黄色い県」→羽田空港→家。

となる。

まるで飛行機で通勤しているみたいだな。

福岡に行くということで、今朝8時過ぎ、福岡に住む高校時代の友人、コバヤシにメールを打った。

「今日夜10時頃に福岡に着きます。もし時間あれば軽く一杯でも」

すると夜、

「まあ暇は暇です」

と返事が来た。

前にも書いたと思うのだが、どんなときにもすぐに対応してくれる友人は、福岡のコバヤシくらいなものである。

夜10時過ぎ、私が泊まるホテルの近くで落ち合うと、

「相変わらず、急に連絡してくるやつだな」

とコバヤシが言う。

「たしかに、急に連絡したのは、悪かったと思うよ」と私。

「前にお前、『急に連絡して食事につきあってくれる友人は福岡のコバヤシくらいなものだ』とブログに書いていただろう」とコバヤシ。「あんなふうに書かれたら、来ないわけにはいかないだろう」

コバヤシも、自身の「キャラ」というものを意識しているらしい。

私が、ここ最近、出張続きで「忙しくてイヤダイヤだ」と言っていると、

「お前、相変わらずだな。やっぱり人間ていうのは、いくつになっても変わらないものだなあ」

と感慨深げに言う。

「どういうことだ?」

と聞くと、

「お前は昔から、自分の置かれた境遇を『イヤだイヤだ』とのろっていた。しかし実際はそうではない。本当は自分から進んで、その選択をしているんだ」

「そうか?」

「そうだ。俺はそんなお前を、いつも面倒くさいヤツだと思っていたのだ」

相変わらずのダメ出しである。

まあいつものことなのだが。

福岡の魚と九州の焼酎を飲みながら、コバヤシがたまに通っている魚料理の美味しい店の話題になった。

「こんど時間があったら連れてってやるよ」とコバヤシ。

「どういう店だい?」

どうもその店の主人というのは、もともと湯布院かどこかのホテルの料理長をしていた人だったのだが、嫌気がさしたのか料理長を辞めてしまい、福岡の薬院というところで、小さな自分の店を持ったのだという。そこで、自分の作りたい料理を作って出しているのだそうだ。

その話を聞いて思い出したのが、私が「前の職場」にいたころにたまに通っていた、「よく喋るシェフのいる店」である。

「よく喋るシェフ」もまた、もともと大きなホテルで料理長をしていたが、あるときそのホテルを辞めて地元に帰り、住宅街の一角に小さな洋食屋を開いたのだった。

「いつも不思議に思うんだが」と私。「料理人っていうのは、最終的には、小さくても自分のお店を持ちたいものなのかね?ホテルの料理長をしていた方が安定していると思うんだが」

コバヤシはすぐさま答えた。

「料理人はさ、やっぱり、目の前でお客さんが自分の料理を食べてくれて、『美味しい』と言ってくれるのが、いちばん嬉しいんじゃないか?」

「なるほど、そうか」

「ホテルの料理長をしていたら、たくさんの人の料理は作るけど、お客さんの顔は見えないだろう。でも料理人の何よりの喜びは、目の前で食べてくれた人が『美味しい』と言ってくれることなんだと思うよ。だから、小さくても自分の店を持ちたいんじゃないだろうか」

なるほど、考えもしなかった。

「だが、俺の知ってるそのシェフは、いつも『こんなお店、辞めたい』と愚痴を言っていたぞ」

と、私は「よく喋る店のシェフ」が私にいつも愚痴を言っていたことを思いだして言った。

それに対してもコバヤシは答える。

「そりゃあ、店を持つってことは大変さ。休みの日は仕入れをしなきゃいけないし、たとえ営業時間が夜の数時間だけだったとしても、それ以上の仕込みの時間が必要だ。そう考えたら、休む暇なんてないだろう」

「そうだな」私はふたたび、「よく喋るシェフ」のことを思い出した。

「つまり、料理人として自分の店を持てるということは、それだけで大変な能力と努力を兼ね備えた人ということだ」

「じゃあ、俺の知ってるあのシェフもか?」

「もちろんそうだ。『イヤだイヤだ』と口では言っているが、好きでなければ、続けられないはずだ」

「それもそうだな」

「お前だってそうだろう」

私はハッとなった。

「お前だって、俺に会えばいつも『仕事がつらくてイヤだ』と愚痴を言うが、好きでなきゃ、いままで続けてこられなかっただろう」

「それもそうだな」

「だから、料理人も、お前も、同じなんだよ」

「なるほど、そういうことか!」私は溜飲が下がった思いがした。「俺の仕事でいえば、目の前にいる学生が、俺の話を聞いて面白いと思ってくれた瞬間が、いちばん嬉しい瞬間なのだ。その一瞬のために、この仕事を続けているのだといってもいい。それは料理人が、目の前のお客さんの美味しく食べている顔を見て嬉しくなるのと、同じことなんだな」

「そういうことだ」

「それに、授業は、事前の仕込みを丁寧にすればするほど、良い授業になる。いくら話術に長けていたとしても、仕込みをしていない口から出まかせのような授業は、実は面白くないのだ。これって、料理と同じだよな」

「そうだ」

「そして俺は、一瞬の楽しさのために、仕事が続けられるということなんだな」

コバヤシの言葉に、私が何かを気づく。

この関係は、高校の時から、ずっと変わらない。

「よし、締めはラーメンだ」とコバヤシ。

「体に悪いぞ」

と言いながら、高校時代に戻ったような食欲で、ラーメン屋に向かった。

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コメント

その店の人気メニューも、事前の仕込みには1週間かけているようです。

というか、D陣も明治キャラメルの空箱もないのに「サイコロの旅」状態とはこれいかに。

投稿: 湯河原こぶぎ | 2015年2月11日 (水) 01時10分

今回ばかりは、私もその店の名前を知らないので、その答えが正解かどうかはわかりません。やたら料理の量が多いということだけは聞きました。

投稿: onigawaragonzou | 2015年2月11日 (水) 22時19分

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