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ここはアトリエ村

3月4日(水)

今日は「山の上の工房」で、一日ものづくりの仕事である。

朝6時過ぎ、家を出る。

東京から新幹線で2時間15分。そこから在来線に乗り継いで2駅。

ここからが大変である。

工房の人に車で迎えに来てもらわないと、工房にたどり着くことができない。なぜなら、とんでもない山の上にあるからだ。

車で20分。途中、急な山道を登り、たちまち市内がが一望に見渡せるほどの標高になる。

(どこまでこの山道を登っていくんだろう?)

と不安になったころ、突然、視界が開けた。。

忽然と、集落が目の前にあらわれてくる。

こんな山の上に、こんな平場があったのか、と驚くほどである。

そしてそこに、工房はあるのだ。

「バブルのころ、ここにアトリエを作った美大の先生がいましてね。そうしたら、ほかの先生方もアトリエを作るようになりまして、ひとつの町ができあがりました」

「ほんとうに、ひとつの町のようですね」

「いつしか、ここはアトリエ村とよばれるようになりました。ところが、この場所は実は市街化調整区域で、本当は住宅を作ってはいけなかったんです」

「そうなんですか」

「ええ。ですからいまは、建て替えも建て増しもできない。食堂もないんです」

アトリエ村か…。不思議な町である。

さて、ものづくりって何だ?と思われるかも知れないが、たとえていえば、海洋堂のフィギュア作りを連想すればよい。あんな感じの仕事である。

もちろん、私自身が作るわけではない。私は、形とか色とかを決めて、指示を出して、それを職人さんに作ってもらうのである。微妙な色調や濃度の違いについても、こちらで全部判断しなければならない。

これが、実に楽しい。

職人さんも私も、いいものを作りたいと思っているから、お互い真剣である。

こちらもプロの職人さんを納得させるような指示を出さなければならない。

このアトリエ村なら、煩わしい会議もないし、人間関係に悩まされる心配もないし、時間を忘れて、じっくりとモノと向き合うことができる。

いま私がいちばん楽しいと思っている仕事は、このものづくりの仕事なのである。

私自身は、プラモデルひとつ作れない不器用な人間だが、そんな不得意な人間でも、ものづくりの仕事にかかわることはできるのだ。

ここで私は知る。仕事に「得意、不得意」というのはない。あるのは「好きか、嫌いか」だけなのだ、ということを。

人間にはたまに裏切られたりするけれど、モノは裏切らない。手をかければかけるほど、いいものができる(と思う)。

気がつくと午後6時過ぎ。

今日の作業が終わり、ヘトヘトになって、工房を出ようとすると、職人さんが私に言った。

「3月中に、あと1回、確認作業に来てください」

えええええぇぇぇっ!!!

てっきり今日でめどがついたかと思ったら、もう1回来なければならないのか…。

作業は面白いが、工房は遠すぎる!

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コメント

「アトリエ村」なんてぎょうさんあるさかい、どこにあるかワシにはさっぱり分からへん。鬼太郎、自分には分かるか?

さて、どないでしょう。僕にもさっぱり分かりまへんねん、おとん。

そうか!

どないした鬼太郎。

山の上の光の当たり方を見れば太陽の位置が分かるさかい、この場所がどこにあるか分かるかも知れまへん。

そうやな、右から光が当たってるちゅうことは、この場所は北向きや。

ちゃいますよ、おとん。

じゃ、南や。

そやから違いますって。

うーん、ほんなら東や。

おとん、ほんまは正解が分かってるんとちゃいますか。

投稿: こぶぎどすえ | 2015年3月 5日 (木) 00時33分

前回に引き続き、今回も簡単なクイズでしたな。

検索すると、村に至る山道を詳細に紹介したサイトが出てきたんですが、まさにあの通りです。

投稿: onigawaragonzou | 2015年3月 6日 (金) 01時28分

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