« 新・世界遺産論 | トップページ | ラジオの公開生放送のカタルシス »

決定!「ラジオ遺産」第1号

前にも書いたが、私のAMラジオの原点は、小学生の頃に聞いた近石真介である。

TBSラジオの平日の午前、いまの大沢悠里さんの時間帯に、「こんちワ近石真介」という3時間超のワイド番組を担当していた。

そして、平日の夜の8時台に、NHK第一で「おしゃべり歌謡曲」という40分番組を担当していた。

つまり、全盛期の近石真介は、AMラジオの月~金の帯番組を、2つも持っていたのである。

いま、帯番組を2つ持っているラジオパーソナリティなんていないんじゃないだろうか。

だから私にとってはラジオの神様なのである。

平日の昼間は学校があるので、TBSの午前の番組はなかなか聴けなかったが、長期休みには聴いていた。

その中に、日本香堂が提供する「はがきでこんにちは」というコーナーがあった。

5分ほどの短いコーナーで、近石真介が、リスナーからのはがきを1枚紹介して、それに対して簡単なコメントをいう、というものである。

内容は、はっきり言ってとりとめのないものばかり。そこに近石真介がとりとめのないコメントをつけていた。いってみれば「雑談」である。

毎日毎日、とりとめのない内容ばかりなのだが、たぶんリスナーからしてみたら、とりとめのない内容のはがきを書いて、パーソナリティの近石真介がそれをもとに話をふくらませてくれる、というだけで、なんというか実に親近感がわくのである。

それを毎日続けるわけだから、これは一種の「名人芸」である。

私が高校生くらいのときに、近石真介はラジオの帯番組から撤退する。だが長寿番組だったTBSのワイド番組が終了したあとも、この「はがきでこんにちは」のコーナーだけは、別のワイド番組の1コーナーとして、しばらく続いた。

そこまでは覚えているのだが、大人になってから、このコーナーのことはすっかり忘れてしまっていた。今日、急にこの番組のことを思い出し、インターネットで調べてみたら、ビックリした。

なんと、「はがきでこんにちは」のコーナーが、いまでも続いているというのである!

地方ローカル局のワイド番組の1コーナーとして、ほそぼそと続いているのだ(ただ不思議なことに、制作はTBSラジオなのだが、TBSラジオでは放送されていない)。

ウィキペディアによると、この番組が「こんちワ近石真介」の1コーナーとしてはじまったのが1971年。それからいままで、月~金、1日5分の放送が44年間も続いているということになるのだ。

そんな近石真介も、傘寿をとっくに過ぎた年齢である。

動画サイトで検索すると、最近の放送があがっていたので聴いてみたのだが、小学生のときに聴いた印象とまるで変わっていない!

リスナーの雑談に近石真介が乗っているという関係性が、とても心地よい。

しかも、驚くことに、いまだにはがきでしかお便りを受け付けていないのである!

宛先がいまだに「私書箱」というのも、まったく変わっていないのだ!

こうなるともうほとんど人間国宝級である。「ラジオ遺産」として登録すべきである!

決して大げさではなく、「はがきでこんにちは」は、ラジオが持っていた古きよきコミュニティーの、最後の砦である!

AMラジオの要素を濾過していって、最後に残った純なものが、この5分の番組の中に凝縮されているといってもよい。

リスナーのとりとめのない話を受けて、パーソナリティがとりとめのない話で返す。

かくもシンプルなコミュニケーションこそが、AMラジオのコミュニティなのだ。

|

« 新・世界遺産論 | トップページ | ラジオの公開生放送のカタルシス »

趣味」カテゴリの記事

コメント

(BGM) FRANCK POURCEL「ひとつぶの涙」

https://youtu.be/KzNERXayVi4

こんにちは、わたし58歳です。

最近は世界遺産ブームですが、先日とある観光地でバスに乗ると、前の席に座ったお客さんに運転手さんが話かけているのを見ました。

停留所で別の客がその席に座ると、やっぱり運転手さんが話かけてきて、ずっとお話しているようです。

バスを降りる間際にドアの横を見ると張り紙が一枚。

「運転手に話しかけないでください」だって。

おしゃべり好きな運転手さんから話かけられたら、仕方ありませんよネ。

投稿: こぶぎの聞けば聞くほど | 2015年7月 8日 (水) 23時19分

あーわかるわかる。

アタシもおしゃべりなもんですから、バスなんか乗りますと、つい運転手さんに話しかけちゃうんですよね。

運転手さんからしたら、運転中に話しかけたら、気が散っちゃうもんなんでしょうかねえ。

でも運転手さんにしたって、一日中だまーって運転していたら、ストレスがたまるんでしょうよ、きっと。

だから運転手さんのペースでお客さんに話しかけるのが、いちばんいいんじゃないんでしょうかねえ。

アタシが運転手だったら、やっぱりずーっとお客さんに話しかけてるだろうなあ。

この運転手さんの気持ち、わかりますよ。

ハイ、どうもどうも、ありがとうございました。

まぁみなさんがたもどうぞひとつ、はがきでお寄せください。宛先は、郵便番号いちれいななのはちろくきゅういち、東京都港区赤坂郵便局私書箱4号、「はがきでこんにちは」です。お待ちしてまーす。

投稿: onigawaragonzou | 2015年7月 9日 (木) 01時29分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 新・世界遺産論 | トップページ | ラジオの公開生放送のカタルシス »