深町くん現象
7月21日(火)
ここのところ忙しく、ひどく疲れているので、簡単に書くにとどめる。
またまた映画「時をかける少女」(1983年)のお話。
この映画は、主人公の芳山和子(原田知世)と、その友だちの深町一夫(高柳良一)、浅倉吾朗(尾美としのり)の3人をめぐる物語である。
幼なじみの3人だが、芳山和子は、深町一夫にほのかな好意を寄せていた。
しかし、深町一夫は、実は未来から来た人間で、ほんの1カ月ほど、「現在」という時間に滞在したに過ぎなかった。
つまり、芳山和子が幼なじみだと思っていた深町一夫とは、ほんの1カ月ほどしか一緒にいなかったのである。
だがまるで、幼い頃から知っているように、和子には思えたのだ。
芳山和子が深町一夫との思い出として記憶していた幼い頃の出来事は、実は浅倉吾朗との思い出だったのである。
それが、深町一夫との思い出として、記憶がすり替えられていたのだ。
未来から来た深町一夫は、まるでむかしからそこにいるかように、人々の記憶を操作していたのである。映画の終盤で、そのことが明かされる。
…わかりにくい説明だな。まあよい。
なぜこんなことを書いたかというと、現実の世界でも、これに近いことが起こるからである。
たとえば、その職場にまだ半年くらいしかいないのに、もう10年くらいその職場にいるんじゃないかと思われる人、いるよね。
…というか、俺のことなんだけど。
今の職場に移ってまだ1年4カ月なのだが、今日、「なんかもう、むかしからいる人みたいですね」と言われた。
前の職場でも、同じようなことを言われたことがある。
どうも私は、「むかしからいる人」と思われているらしい。
そう思う人の中には、私がむかしからこの職場にいる人間として、記憶が置き換わっている人もいるようである。
「それ、僕のことじゃありませんよ」
とか、
「その時僕はそこにいませんでしたよ」
とか、そう返答することがしばしばある。
こういう、「実際にはまだ月日が浅いのに、その人がむかしからいるように思える現象」のことを、「深町くん現象」と呼ぶことにする。
この「深町くん現象」は、心理学的に解明されていることなのだろうか?
あるいは、たんなる「空脳(そらのう)」として片づけられてしまうものなのだろうか。
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