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中国旅・実直な青年

9月20日(日)

この旅の直前、「前の職場」の教え子だった元中国人留学生のYさんから、

「もう一人同行させたい人がいるんです。私の知り合いなんですが」

と連絡が来た。

Yさんは華奢な女性だし、「知り合い」というから、その人も華奢な女性なのかなと勝手に想像していたら、旅の初日である昨日の朝、Yさんと一緒にホテルのロビーに迎えに来てくれたその「知り合い」に会ってビックリした。

20代後半くらいの屈強な青年である。

しかも、彼はまったく日本語がわからないという。

この旅のあいだずっと、教え子のYさんのほかに、屈強な青年のJ君も同行してくれることになったのである。

それにしても、不思議である。

彼は、私とは初対面である。たんに「Yさんのかつての先生」というだけにすぎない。私のことをどんな人間かも知らないのだ。

にもかかわらず、昨日は朝から往復9時間もかかる場所まで、一緒に車に乗って同行してくれ、道がわからなくなると、運転手さんの代わりに地元の人に聞いてくれたりした。

訪れた場所は、たいへん地味でマニアックな場所だったのだが、それでも彼は、私たちと一緒に、辛抱強くずっとその場所につきあってくれたのである。

食事をする店の手配までしてくれた。

結局、夕食までつきあってくれ、果ては明日の旅の段取りまで考えてくれたのである。

寡黙だが、実に豊富な知識を持っている様子がうかがえた。

さて翌日(つまり今日)。

今日は市内を回ることになっていた。

事前の予定では、車をチャーターせずに、タクシーで市内を移動するつもりだったのだが、なんとその青年J君が、自分の車を出してくれ、運転までしてくれることになった。

朝9時、YさんとJ君は、J君の車でホテルまで迎えに来てくれた。

つまり今日は、タクシーをつかまえる心配をすることなく、心おきなく旅をすることができるのである。

朝9時から始まった旅は、昨日と同様、地味な場所をまわったのだが、青年J君は、辛抱強く私たちにつきあってくれた。

その心遣いは実に行き届いていて、そんじょそこらのガイドさんにもマネのできない心配りばかりだった。おかげで私にとっては、まったくストレスのたまらない旅となった。

私と彼はまったく言葉が通じないが、それでも彼は私に対してことあるごとに誠実に対応してくれた。

しかも明日も、J君はまる一日車を運転して、私たちを案内してくれるというのだ。平日にもかかわらず、である。

日本語がまったくわからないJ君が、初対面の日本人に、ふつうここまでするだろうか?

J君とは、一体何者なのか?

Yさんに、「J君にここまでしてもらって、いいのだろうか?」と聞いても、

「大丈夫です」

と答えるだけで、それ以上は何も言わない。

そればかりか、YさんはJ君のことを「知り合いだ」というだけで、それ以上のことは何も言わない。

ますます謎は深まるばかりである。

中国のテレビニュースで、例の法案が強行採決されたことを知った。

例の法案は、中国を念頭に置いたものだともいわれている。中国のニュースでも、そんなような論調だった。

しかし私にはわからない。

あの実直な青年J君を見ていると、あの法案にまったくリアリティが感じられなくなる。

もちろん私は、実直な青年のほうを信じる。

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