久しぶりの足痛
9月14日(月)
久しぶりに、足に激痛が走る。
例の病気である。
このところの忙しさとストレスと不摂生で健康管理を怠っていたため、自業自得である。
足が痛くなると、日ごろの活動がいつもの3分の1くらいしかできなくなる。
歩くスピードも、ふだんの5分の1ほどである。ふつうに歩くこともできない。
仕事をする気がまったく起きなくなる。気分も憂鬱になる。
しかしそういうわけにもいかないので、何とかやる気を振り絞って迷惑がかからないていどに仕事をこなす。
私の足痛は、生死に関わらない分、おもしろおかしく「ネタ」にされることが多い。
自分自身も、これまで「ネタ」にしてきたのだが、最近はネタにすることもしんどくなってきた。
一般に、「生死に関わらない災難」というのはネタになりやすい。
とある状況の中で生死に関わらないていどの災難に遭ったりすると、自分の不運を半ば自虐的に語ることで、職場の昼食時の話題になったりするのだろう、とつい想像してしまう。
こんなことばかり考えても仕方がないので、家に帰ってから、古い映画を見ることにした。
今見ている映画は、五味川純平原作・小林正樹監督・仲代達矢主演の映画「人間の條件」(松竹映画、1959年~1961年)である。
全6部構成で、9時間半におよぶ、日本映画史上、空前絶後の大作である!
戦争に翻弄されながらも、人間の尊厳を守り抜く一人の人間の物語である。主人公の梶を、仲代達矢が演じている。
こんなご時世だからこそ、見るべき映画である。戦争というものが、人間を如何に虫けら同然に扱うかが、この映画を見るとよくわかる。
そんな中にあって、人間らしく生きていくことは、並大抵のことではないのだ。
軍隊内での過酷なシーンを見ていると、ただでさえ痛い足が、余計痛くなる。
(もし俺みたいな「痛風持ち」が軍隊にいたら、痛くて動けないだろうから、たちまち上官から制裁を受けるだろうなあ)
などと想像してしまう。
まあそれはともかく。
軍隊のような、人間を虫けら同然に扱う社会にも、わずかながら人間性の豊かな人はいる。
主人公の梶は、そういう人に出会い、自分の人間性を取り戻すのである。
その一人が、第3部「望郷篇」に登場する、丹下一等兵(内藤武敏)である。
あるとき、二等兵の梶は命を落としかけ、野戦病院に運ばれる。
そこで、入院中の丹下一等兵に出会う。
彼とほんの短い間、会話を交わすうちに、梶は彼の人間性に惹かれていく。
人間であることをやめた軍隊の中にあって、丹下は、人間的な思考を失うことなく自己を貫いていたのである。
そこに梶は共感したのだ。
ところが丹下一等兵は、ほどなくして退院し、戦地に戻されることになった。
別れ際、梶と伊丹は最後の会話を交わす。
梶「あんたには、もっと話しあいたいことがいっぱいあったのに」
伊丹「またどこかで会おう。会いたい奴には会えるものさ」
梶「むかし僕はある男から、『人間の隣には必ず人間がいるものだ』と言われたことがある。…それをあんたは実証してくれた」
伊丹「買いかぶるなよ。…しかしその言葉、もらっておこう」
伊丹の登場シーンはほんの短い時間だが、内藤武敏の演技が光る名場面である。
もちろん、この会話が、その後の物語の展開の伏線になることは間違いないのだが、いかにも私が好きなセリフなので、心覚えに書きとめておく。
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