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会議解説者への道

先日、TBSラジオ「ジェーン・スー 相談は踊る」を聴いていたら、リスナーが、ジェーン・スーに電話相談をしていた。

相談者は、どうも思い込みの激しい人のようで、ジェーン・スーのアドバイスに対して、「でも…」とすべて否定にかかる。思考回路が常に同じところをぐるぐる回っていて、聴いているほうも少しイライラしてきた。

相談を受けているジェーン・スーも、業を煮やしたようで、最後にその相談者に、

「あとで、ポッドキャストでこのラジオを聴き直してみてください。客観的に聴いてみることで、自分の思考回路がわかると思いますよ」

と言って、その相談が終わった。

なるほど。

相談している最中は、気持ちが高ぶっていたり、冷静な判断ができなかったりして、相手の言っていることが理解できなかったり、自分の思考の枠組みから逃れられずに意固地になったりするのだろうが、これを客観的に見つめ直す機会があれば、自分のどこが意固地なのかが、わかるということか。

いい方法だ。

「あの人、どうしてあんなに思い込みが激しいんでしょうねえ。会議で、せっかくこっちがいろいろと提案しても、聞く耳を持たないんです。同じことばかりくり返しておよそ論理的ではない反論ばかりしている。会議はそんな人たちに主導権がにぎられていて、こっちは憔悴するばかりです」

「いい方法がありますよ」

「何です?」

「その会議を、録画するんです」

「はあ?」

「そしてあとで、その会議の映像をみんなで見て、どこに問題があるかを指摘するんです」

「…というと?」

「思い込みの激しい人は、リアルタイムの会議の中では、自分が思い込みが激しい人間だとは、露も思っていない」

「そうですね」

「でも、それを録画して、客観的にその会議を見直してみると、さすがに本人は、自分の思い込みの激しさとか、同じ思考回路をぐるぐるとめぐっているに過ぎないことに、気がつくでしょう」

「なるほど」

「いっそのこと、DVDのオーディオコメンタリーみたいに、そのときの会議をみながら解説を加えていけば、なおいいでしょう」

「なるほど」

「どうです、いいアイデアでしょう?」

「はあ、しかしですねえ」

「何です?」

「意固地な人は、その会議の映像を見て、自分が意固地であることに気づくでしょうか?気づくようであれば、その人はそもそも意固地ではありません」

「…そ、それもそうですね。でももし気づかないようであれば、その人はもう救いようがありませんよ」

「それに、いちばん問題なのは…」

「何です?」

「あのムダな会議をもう一度追体験するというのは、時間のムダだということです」

…会議を建設的に進めることは、人類の永遠の課題である。

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