カニ待ち港
こぶぎさん、連続正解です!
10月9日(金)
朝8時半、滞在していたC市のホテルを出発する。
今日は、車をチャーターして、6時間ほどかかるU郡に向かう。
おりしも今日は、祝日である。道路は渋滞していた。
(うーむ。これでは予定の時間にたどり着かないかもな…)
目的の場所に着くには、午後になってしまう。
同行者の1人が、
「お昼は海の近くのお店で、「カニグクス」のおいしいお店で食べましょう。目的の場所に行く途中にありますから」
と言う。
「カニグクス?」
「カニがのっているそうめんのことです。前に行ったことがあって、とてもおいしかったんです。店の場所も覚えていますから、運転手さんに頼んでそこに寄ってもらいます」
「おいしそうですね」
お昼近くになり、車はやがて、右側に海を見ながら、北上を続ける。
右側に広がる海を見ながらしばらく行くと、午後1時10分頃、漁港の食堂街みたいなところに着いた。
食堂が軒を連ねる広場には、たくさんの車が駐車している。
港にはイカ釣り漁船が所狭しと停泊していて、海岸ではイカが干されていた。
「まるで寺泊みたいなところだなあ」同行の1人が言った。
「ここですよ」と、その店を紹介した同行者が言った。
店に入るが、客は誰もいない。
店を切り盛りしていると思われるおばちゃんが、
「何にしますか?」
と聞いてきたので、
「カニそうめんを4人分ください。時間がないんでね」
と言うと、お店のおばちゃんは、何かまくし立てるように言った。
聞いているとどうも、
「この店は、カニを売りにしてる店なので、カニそうめんだけ頼まれたんじゃ、こっちは商売あがったりだ。カニセットを注文してほしい」
と言っているようである。
「じゃあカニセットで。カニそうめんも頼めるんでしょう?」
「頼めるけれど、カニそうめんを4つ頼むよりも、4人ならばカニそうめん2つとカニ焼きめし2つを頼んだ方がいいと思うよ」
という。
こっちはすでに「カニそうめんの口」になっているんだがな、と思いつつも、おばちゃんに言われるがままに、「カニそうめん2人前」と「カニ焼きめし2人前」を頼むことにした。ずいぶん強引なおばちゃんである。
最初に、「突き出し」が出てきた。
それを食べながら待っているのだが、なかなかカニが来ない。
そのうち、お客さんが少しずつ増え、お店のテーブルはお客でいっぱいになった。
待てど暮らせど、メインのカニは来ない。
カニが来ない理由がわかった。
この店は、料理も給仕もすべて、おばちゃんひとりが切り盛りしているのだ。
しかも、見ているとかなり要領が悪い。
「忙しそうに立ち居振る舞っているのだが、実は要領がとてつもなく悪いおばちゃん」
という例のパターンだな、とすぐにわかった。
そのうえお客さんが増えて、かなりテンパっているぞ。
業を煮やした1人が、おばちゃんに言う。
「パリ ジュセヨ」(早くください!)
これをおばちゃんは、
「サリ ジュセヨ」(替え玉の麺をください)
と聞き間違えたらしい。
「サリ(替え玉の麺)?カニそうめんは今作っているところだけど、替え玉は何玉ほしいの?カニそうめん1杯はそうとうな量があるので、出てきたのを見てから決めてもいいんじゃない?」
「早くください」の答えとしては、そうとうトンチンカンな答えである。
「パリ ジュセヨ」と言った同行の人も、「サリ ジュセヨ」と聞き間違えられたことに気づかず、おばちゃんのトンチンカンな答えの意味を理解できない。
だいたい、聞き間違えること自体が、要領の悪いおばちゃんである証拠なのだ。
(あ~あ、面倒な店に入っちゃったなあ)
1時間待って、茹でたばかりのカニ1杯がようやく運ばれてきた。
誤解のないように言っておくが、私はカニが好きである。
だが、1時間も待たされて食べるほどのものかというと、ちょっと疑問である。
しかも1人1杯ならばまだしも、4人で1杯なので、なおさら疑問である。
そのあと、「カニそうめん」と「カニ焼きめし」が来たが、こちらはいたってふつうの味だった。
お店に入ってから1時間半、ようやくすべての料理が出揃い、食べ終わった。すでに2時40分を過ぎていた。
「計算はいくらになりますか?:
「13万ウォンです」
えええぇぇぇぇっ!!!
13万ウォンは、日本円に直せば、13000円。つまり、ひとり当たり約3000円である。
1時間以上待たされたあげく、「カニを食った!」という達成感もさほどないのにもかかわらず、1人3000円なのは、かなり腑に落ちない。
何よりも腹が立ったのは、1人で店を切り盛りしているおばちゃんの要領の悪さである。
世の東西を問わず、「忙しそうに立ち居振る舞っているのだが、実はとてつもなく要領が悪い」という、例のパターンは、存在するのだ。
車に乗り込み、目的の場所に向かったが、到着したのは午後3時半だった。
私が初めて訪れた、そのU郡というのは…。
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コメント
何だがね、この客たちは。
急げ急げって、最近の若造は、年上に向かって口の利き方も知らんがね。
今日はこれから学園祭でクレープの屋台をするんで荷物運搬の車を出さなきゃいかんし、その後はドキュメンタリー映画祭にも行くんだがね。
忙しい中、冷凍ガ二の在庫を解凍して料理を作ってやったのに、少しは気を使って、うまそうな顔でもするもんだがね。
大体、蟹の季節といったら冬に決まっとるだがね。ここの蟹祭りが春にあることも、よう知らんわな。
まったく季節違いも甚だしい。ポハーンとしちまうがね。
この辺の街並みが寺泊に似ているのも、実はかの国と深い因縁がある街だからだに、歴史を知らない人は、これだから困るがね。
大体、これから行くとか言ってた所だって、王様に献上するほど蟹で有名だがね。
え、料理も出さないうちから、シメのうどんやて? うるさいっきゃ。
これじゃ五月蠅い国(こく)から来た「うるさい人(じん)」、略して...
さて、ここで問題です。
食堂のおばさんが失礼な客につけたあだ名は「何々君」でしょうか。
投稿: こぶぎ食堂 | 2015年10月10日 (土) 07時48分
ポンピョーン!
ん?ずいぶんおかしな音がする解答ボタンだな…。ま、いいや、では、答えをどうぞ。
うるじん君!
正解です!
投稿: onigawaragonzou | 2015年10月11日 (日) 20時33分