「犬神家の一族」からの妄想
こぶぎさん、こんにちは。
無料動画サイトGyaOで、リメイク版の「犬神家の一族」(2006年公開)をやっていたので、見ることにしたんですよ。
公開当時は、リメイク版は、きっとオリジナル版(1976年公開)には勝てないだろう、と思い、見なかったのですが、今回初めて見てみたところ、思った以上によい出来だったと思いました。
…というより、オリジナル版と、セリフやカット割りが、ほとんど変わらないではないですか。
2006年版では、主要人物の平均年齢が上がったことが、大きな特徴です。
金田一耕助を演じる石坂浩二は、この当時60代半ば(オリジナル版当時は30代半ば)。それにしては、ひどく演技が俊敏です。
等々力署長(オリジナル版では橘署長)を演じる加藤武は、70代半ば(オリジナル版当時は40代半ば)。
神社の神官を演じる大滝秀治は、81歳(オリジナル版では51歳)。ただし見た目はオリジナル版のときとほとんど変わりません。
2006年版では下っ端の刑事役に尾藤イサオが出ていますが、このときすでに尾藤イサオは63歳。とても下っ端の刑事という年齢ではないのですが、そんなことを感じさせないくらい若々しいのです。
市川監督は、なぜ、リメイクといいつつも、脚本もカット割りも前作とまったく同じ作品を作り上げたのでしょうか?
こぶぎさん、僕は思うのです。
芝居でいえば、これは再演なのではないか、と。
たとえていえば、森光子の「放浪記」のようなものなのです。還暦を過ぎた石坂浩二が、若い金田一耕助を演じるというのは、そういうことなのではないでしょうか。
それを、映画で実践したのではないでしょうか。
今見返してみると、1976年版は、映画としてほぼ完璧なのです。だからこれをほとんど改変しなかったのではないでしょうか。
さて、些細なことですが。
今回、映画を見直してみて気づいたことなのですが、長女の犬神松子(1976年版では高峰三枝子、2006年版では富司純子)が、自分の部屋の和箪笥の上段部分にある扉を開けて、細長い奇妙な生物を描いた絵を拝んでいる場面が何度か登場するでしょう。
何とも奇妙なシーンなのですが、映画では、この場面についての説明が一切ありません。事件の伏線になっているわけでもありません。いわばスルーしているのです。
映画を見ている方からすれば、
(あの、奇妙な生物の絵を拝んでいるのは、何か意味があるのだろうか?)
とも思うのですが、市川監督はこの場面について、何も説明していないのです。
おそらく、犬神松子が信仰している邪教の一種なのだと思うのですが、それが、殺人とどう関わっているのかという説明がないことが、余計にこの場面を気味の悪いものにしているのです。
それと、映画の中では、犬神家は「犬神製薬」という製薬業により財をなしたとされていますが、横溝正史原作の小説では「製糸業」により財をなしたとあり、原作を改変しています。
原作の「製糸業」のモデルになった会社とは、ほら、以前僕が行った「湖の近くの温泉」があった建物ですよ。こぶぎさんが見事、正解しましたよね。
犬神家の連続殺人事件が起きたのは昭和22年ですが、戦争中は、犬神家が阿片の製造をおこない、大陸に輸出して財をなしたと、映画の中では語られています。原作の設定よりも映画の設定の方が、より犬神家のいかがわしさを際立たせているように思います。
そして「邪教」と「阿片」は、私の中で、松本清張の未完の絶筆「神々の乱心」とシンクロするのです。
ここから、松本清張「神々の乱心」と横溝正史「犬神家の一族」を合わせた、壮大な物語が描けそうな気がするのですが、妄想に過ぎるので、今はこれ以上書くのをやめておきます。
でもいつか、「神々の乱心」と「犬神家の一族」を合わせたような壮大な小説を書きたいと思うのですよ。
こんなことをこぶぎさんに向かって書いたのは、こんな訳のわからない妄想を理解してくれるのが、もうこぶぎさんしかいないのではないか、と思ったからです。
次は、いつ更新するかわかりませんが、気が向いたら更新します。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- KOC雑感2024(2024.10.19)
- ドリーム(2024.10.01)
- わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!(2024.09.22)
- 団地のふたり(2024.09.16)
- きみの色(2024.09.08)
コメント
GYAO見たよ。
どうだった?
探偵と署長が
台詞で全部説明
してしまうから。
家事しながら
でも見られるし。
朝ドラかWWW。
最後のオチも、
既にネタ振りさ
れてたから。
富司純子が拝んで
た絵は分かった?
ヒント:
ウィキの「犬神」。
こんなに説明好きな
台本だもの、ちゃん
と意味があるね。
でも、なんで
LINE風の
コメント?
本文記事が手紙風
だから、
「シークレット
メッセージ」風で。
あ、ビッグバン
のトップと、
上野樹里主演の
ウェブドラマだね。
死んだ恋人から
返事が来る話。
岩井俊二の映画
「ラブレター」
みたいだけど。
郵便でなくインター
ネット時代だから、
LINEでやり取り
するんだ。
もう下町ロケット
は見てないの?
うん、
裁判は2回までだし。
じゃ、今、
おすすめの
ドラマは...
それは...
次のコメントで。
投稿: よき・こと・こぶぎ | 2015年11月17日 (火) 10時22分