ミカンと韓国海苔
12月30日(水)
私が高校時代の3年間を過ごした町で、友人夫妻とささやかな忘年会である。
久しぶりに訪れたその町は、かなりおしゃれな町へと変わっていた。
「忘れないうちに」友人が私に紙袋を渡した。
「ありがとうございます。いつももらってばかりですみません。…これは?」
「ある事情があって、わが家に段ボール二箱分のミカンが送られてきてねえ。とても二人では食べきれないので、近所に配ったんだけど、それでもさばききれなくて、ちょうど折よくあなたと会うことになったので、お裾分けしようかと思って」
「ありがとうございます」
ミカンは大好物である。
「実は私も…」今度は奥さんが、百科事典1冊分くらいの大きさの包み紙を私に渡した。
「いやぁこんなに大きなものをありがとうございます。これは?」
「私、さきほど旅先から戻ってきたんですけど、旅先で、「韓国海苔」を2パックほどもらったんですが、ご覧の通り、1パックがこの大きさでしょう。今日、折よくお会いすることになったので、お裾分けしようかと…」
「いいんですか?」
「ええ」
「韓国海苔」もまた、大好物である。
「食うタイプの人間」のせいか、どうも食べ物のおみやげに関しては、私はむかしから「もらわれ甲斐のある」キャラクターのようである。
食事をしながら3時間ほど、四方山話に花が咲いた。
「いい年の瀬になりました」
「よいお年を」
二人とお別れして、電車に乗り込む。ミカンの入った大きな紙袋と、百科事典1冊ほどの大きさの「韓国のり」のパックを抱えながら。
まさか、こじゃれた雰囲気のお店でワインを楽しんだ帰りだとは、誰も思うまい。
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