テレビドラマ版ダブルキャスト
12月6日(日)
この土日は、「同業者祭り」で、毎年恒例の、「1年でいちばん憂鬱な週末」だった。
風邪、偏頭痛、蕁麻疹、無呼吸睡眠…。
ストレスから来ているのだろう。満身創痍である。
まあそれはともかく、今回は誰にもわからない「名バイプレーヤー列伝」シリーズ。
名優・岡田英次は、私の中で「テレビドラマ版の大物脇役」という位置づけである。
この俳優が出ると、大物感が出る。
「テレビドラマ版」というのは、どういうことかというと、たとえば、市川崑監督の映画「犬神家の一族」(1976年)で、物語の冒頭で死んでしまう犬神家の当主・犬神佐兵衛を演じたのが、三國連太郎である。
三國連太郎演ずる犬神佐兵衛は、劇中ではほとんどセリフを発することなく、冒頭で死んでしまう。その後は、遺影のみの出演である。
なんとも贅沢なキャスティングである。
ちなみに2006年版「犬神家の一族」では、犬神佐兵衛役が仲代達矢である。これもまた、贅沢なキャスティングである。
このように、犬神佐兵衛役は、大物俳優がキャスティングされるのである。
ではテレビ版ではどうか?
古谷一行が金田一耕助役となったTBSテレビのドラマ「横溝正史シリーズ 犬神家の一族」(1977年)では、犬神佐兵衛役として、岡田英次が出演している。
岡田英次は、映画「また逢う日まで」(1950年)で二枚目の主役を演じたが、晩年は、どちらかというと「怪優」というイメージの方が強い。
同じ「横溝正史シリーズⅡ 真珠郎」では、殺人マシーンを養成する「鵜藤」という人物を演じているし、「怪奇劇場アンバランス 殺しのゲーム」でもまた、殺人のゲームを持ちかける恐ろしい人物を演じている。
もともと二枚目映画俳優として名が売れた岡田英次がテレビに出演すると、非常に大物感が漂うのである。
なので、映画化された作品のテレビドラマ版に岡田英次が出演すると、重厚感が損なわれることがないのだ。
たとえば、「飢餓海峡」。
内田叶夢監督の映画「飢餓海峡」(1965年)は日本を代表する名画だが、その中で、「舞鶴警察署長」の役で、藤田進が出演している。藤田進は、黒澤明監督の映画「姿三四郎」に主演した名優である。
「飢餓海峡」は後にフジテレビでドラマ化されるが(1978年)、このときの「舞鶴警察署長」役が、岡田英次なのである。
映画版では藤田進、テレビ版では岡田英次。
誰もが納得するキャスティングである。
岡田英次は、大物俳優の「ダブルキャスト」として、テレビドラマ界になくてはならない存在だったのだ。
| 固定リンク
「名優列伝」カテゴリの記事
- 橋幸夫のありがたみ(2023.11.08)
- ホームズVSコロンボ(2022.02.16)
- 思索の人(2022.01.07)
- シティガールズ(2021.11.27)
コメント