8日間韓国語耐久レース・その2
1月13日(水)~14日(木)
3日目。
I市滞在最後の日である。
とにかくI市は、寒い。なにしろ雪が降っているのである。
午前中は部屋の中の仕事だったが、午後はI市内の各所をまわることになった。
Jさんはほかの仕事があるということで、現場事務所の最年長、Cさんの運転でI市をまわることになった。
I市出身のCさんは、この道40年の大ベテラン。I市のことで知らないことはない。
いろいろとまわった後、
「とっておきの場所に案内しますよ」
といわれて案内されたのが、採石場だった。
「すごいですねえ、これは」
「すごいでしょう。たぶん、世界一だと思います」
世界一かどうかはわからないが、たしかにすごい。
しかし、外回りは寒すぎた。
これでは体調がよくなるどころか、悪くなるばかりである。
私の身を案じたJさんとCさんは、身体にいい食べ物を食べさせようと思ってくれたようで、夕食は「長芋料理の店」に連れて行ってくれた。
「この町は、長芋が有名なんです」
たしかに、ヘルシーで美味しかった。
お店を出るときに、日本で超人気だった、あの俳優のサインを見つけた。
あの俳優も、この店を訪れたらしい。
そのご縁で、日本人観光客も訪れるそうだ。
さすがに「長芋の店」だけでは、クイズにしたとしても当たるまい。
さらにCさんが、
「身体にいいお茶を飲みに行きましょう」
という。
私は体調が最悪で、帰りたかったのだが、ご好意を無にするわけにもいかない。
伝統茶のお店に行き、サンファタン(雙和湯)というお茶を飲んだ。
たしかに身体によさそうなお茶ではある。
しかしもう、この程度では体調が回復しないところまで来ているのだ。
ようやく夜9時過ぎに解放され、ホテルの部屋に帰るなり、眠りについた。
4日目。
朝、I市からP郡に移動する。
今日はP郡の会社で終日仕事である。
例によって、社長と副社長にご挨拶に行った。
社長も副社長も、とてもいい方だった。
仕事が終わると、今日もまた会食である。
Jさんが言う。
「今日はこれから、歓送迎会を兼ねた我が社の新年会を行いますので、そこに参加していただきます」
「はあ」
もう、多少のことでは驚かない。
夕方、会場に行くと、60名くらいの人たちがいた。
「こんなにいるんですね」と私。
「ええ、我が社の社員全員が参加していますから」とJさん。
いよいよ、何が何だかわかんなくなってきた。
要するに、まったく知らない会社の歓送迎会に、全然関係のない人間が一人、参加しているようなものである。しかも外国人!
私の隣に座っていた人が、長年勤めていたこの会社から、別の系列会社への異動が決まったらしく、「お別れの挨拶」を涙ながらにしていた。
それを聞いている、私の目の前に座っている社長も泣いている。
うーむ。俺はその二人のあいだで、どんな顔をすればいいのだろう?
宴会が始まると、お話をする人がほとんどいない。
知ってる人がほとんどいないのだから、あたりまえである。
宴会じたいは当然盛り上がっているのだが、私の体調はどんどん悪くなるばかりだった。
さすがに途中で耐えかねて、横にいるJさんに言った。
「あのう…先に帰っていいですか?」
「わかりました」
ということで、宴会を早退させてもらうことにした。
何ともなく敗北した気持ちがするが、仕方がない。
ホテルの部屋に入り、すぐに眠りについた。(続く)
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コメント
鬼瓦類の酒場放浪記。
今日ははるばる、ここ韓国のI市までやってきました。
こちらは百済の遺跡が多く、日本とも縁の深い所と聞いてきましたが。
同時に長芋の名産地でもありますので、名物に何とかとも云いますけども、まずはこの店に入ってみましょうか。
(ガラガラ)
アニョハセヨ。
言葉は通じなくても、まあ酒飲みに国境はありませんから、まずは一杯。
ご主人、「これ」あります?(コップを持つジェスチャー)
「マヤク酒!」
「え?」
「マヤク酒」とは何か、いけないお酒のようですが、実は「マ」とは韓国語で長芋のことですから、長芋の薬酒のことですね。
では、頂きます。
偶然居合わせた日本人のご常連さんに聞きましたが、
長芋は、少女時代ソヒョンちゃんもジュースにして飲むくらいの健康食だそうで、
特に、太陰人の私にとって、長芋は好ましい食べ物になっているそうです。
(ガラガラ)
外に出てきました。
今日は長芋のお酒を頂きましたが、実はこちらは、あの「ヨン様」も訪れたことのあるそうで、
「ヨン様のあるところに日本人ファンあり」の言葉通り、訪れた人がブログ記事に書くほど有名だったようです。
そして、人も温かいですね。長芋尽くしの創作料理も絶妙じゃないですか。
特に素材の香りが本物、「本香」の味といったところでしょうか。
少々お酒も回って、ぽにゃーんとして来ましたが、まだまだ行きたいと思います。
では。
益々と
山芋掘れて
市となす
鬼瓦 類
投稿: こぶぎ放浪記 | 2016年1月20日 (水) 10時35分
お酒を飲まないこぶぎさんが、「酒場放浪記」の文体を完全にマスターしている!一つの番組として十分に成立しているぞ。最後の一句も秀逸。
しかも、店名はもちろん正解。
先のコメントにあった「パン焦げちゃったよ」のオチも秀逸で、最近のコメントは芸術的というほかないのだが、さてここで培った技術、ほかにどこで使うんだろう?
投稿: onigawaragonzou | 2016年1月21日 (木) 01時18分